白いお城に馬車、そしてガラスの靴。世界的プリンセスストーリーこと、シンデレラの実写映画が10月25日より公開される。
…あれ?
ポスターをよくよく見てみると、白い城にはカラスが不気味に飛び交い、馬車は爆発炎上。ガラスの靴には血がこびりつき、シンデレラは血飛沫を浴びて激ギレ顔で斧を握りしめている。
ディズニーもちびるシンデレラ
そのタイトルは『シンデレラ』ならぬ『シン・デレラ』っておい。
世界的児童書『クマのプーさん』を『プー あくまのくまさん』としてスプラッターホラー化した凶悪スタッフとキャストが何故だか再集結しちゃった、血塗れ版シンデレラだった。
ちょいちょい、純粋無垢な少女たちが間違って鑑賞したらどうすんの!?
叱りつけてやろうと監督・製作のルイーザ・ウォーレン(女性)にオンラインインタビューを申し込んでみたら、スタジオジブリを標的にしたとんでもない構想をぶち上げ始めた。
「好奇心を刺激されるでしょ?」
─ウォーレン監督、なぜあなたは世界中から愛される『シンデレラ』をスプラッターホラー化したのですか?子供たちの夢を壊さないでください!
「うふふふ。だってサイコーじゃない?世界中の誰もが知っているプリンセスストーリーをスプラッターホラー化するなんて。それだけで好奇心を刺激されるでしょ?しかも虐げられたシンデレラがクソ継母やクソ姉妹、そしてクソ王子に血まみれの復讐を果たすなんて。サイコーにゾクゾクするし超気味が悪い。話題になること必至よ!」
─しかも18禁じゃないですか!人体破損描写とかグロすぎてドン引きです。でもここまでくると、どんな点にこだわったのか逆に気になります。
「最近はデジタル頼りの作品が多いけれど、私から言わせたらそれは逃げだと思う。低予算ならば低予算なりに工夫して、アナログの手作り感を逆に強調することで映画的面白味が生まれると思うから。例えばアルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』。モノクロ映画にも関わらず、血はまるでカラーのような鮮血に見えてくる。アナログならではの創意工夫でいかに観客に怖さを与えられるのか。本作を製作する上では古典的映画の手法を参考にしたの。ウェス・クレイヴン監督の『スクリーム』も勉強になったわ」
─…なるほど、真剣な取り組みだったんですね。確かに『キャリー』『ヘル・レイザー』などの名作ホラーへの愛とこだわりも感じました。
「シンデレラが唯一心を許していたメイドが継母たちに拷問され、とんでもない目に遭うシーンがあったでしょ?あのシーンの撮影は本当に楽しかったけれど、かなり苦労した。というのも血を沢山使用するシーンは撮り直しが大変。もしNGが出たら撮り直すためにみんなで血を拭いて綺麗に戻さなければいけないから。とはいえ妥協はしたくない。だからこの血塗れ拷問シーンは2度撮り直したの。シンデレラ役のケリー・ライアン・サンソンには負担をかけたと思うけれど、その甲斐あって超良い場面になったわ」
次の標的はスタジオジブリ?
─へえ~…あ、感心している場合じゃない。名作アニメ『シンデレラ』を作った偉大なるウォルト・ディズニーさんも草葉の陰で泣いてますよ。そんなディズニーさんに何かコメントはないですか?
「お伝えしたいことはありますよ。ディズニーさん、凄まじいアイデアでホラー映画を作りました!あの愛らしいシンデレラにサイコーな瞬間が訪れます。彼女は、ついに、復讐を、成し遂げるんです!是非観てくださいね!」
─完全に振り切れたあなたの信念にはもうリスペクトしかありません。ところで日本のスタジオジブリ作品はご存じですか?くれぐれもホラー化だけはやめてくださいね!
「ジブリ?もちろん知っています!『もののけ姫』のホラー版なんてどう?世界的に有名な作品ほどぶっ壊して破壊してぐっちゃぐっちゃにしたらサイコーな作品が生まれる。今回の『シン・デレラ』のようにね。オホホホ」
─き、聞くんじゃなかった…。
「私は監督として様々な童話をホラー化してきました。ハンプティ・ダンプティが殺人を犯す物語、トゥースフェアリーが殺しに来る話、最新作は『眠れる森の美女』をベースにしたホラー。ちなみに『美女と野獣』ホラー版はシリーズ化して5本くらい作ったかしら。童話には色々なテーマがあるから永遠に作れる。ネタが尽きないので毎日楽しい!キャハハ」
─さ、最後に監督の口から『シン・デレラ』は『シンデレラ』ではないと世の子供たちに伝えてもらえますかっ?
「先入観を持たないで映画館で是非とも観てくださいね。人生はおとぎ話なんかじゃない。それを『シン・デレラ』から受け取ってもらえたら幸いです」
常識に挑戦状をたたきつけるような作風とマインド、そしてキュートな笑顔。ルイーザ・ウォーレン監督は激ギレのシンデレラ以上にキレッキレの映画人だった。…必見作!
(まいどなニュース特約・石井 隼人)