飼い主さんの愛情によって、弱々しかった子猫から神々しい美猫さんに大変身を遂げたのは、三毛猫の胡桃(くるみ)ちゃん。
2023年8月末の猛暑日、胡桃ちゃんは飼い主の澤部なみさん(@swb7373)によって命を救われました。
職場に現れた捨て猫を放っておけず
出会いは、澤部さんの職場。当時、2匹の猫と暮らしていた澤部さんは職場に子猫が捨てられていることをパートさんから聞き、困惑。「姿を見たら助けたくなってしまうから、社内に逃げよう」と心を鬼にしました。
ところが、胡桃ちゃんは澤部さんに近寄り、足元でスリスリ。職場は食品を扱っているため、猫を社内に入れることはできず。そこで、職場の人は昼休みにミルクをあげようと考え、ひとまず胡桃ちゃんを段ボールへ入れ始めました。
その様子を見た澤部さんは、「このままでは炎天下で3時間、放置されてしまう…」と心配に。たまたまそばを通りかかった上司に「帰ります!」と宣言し、ダンボールごと胡桃ちゃんを連れ帰りました。
「毛がところどころ生えておらず、栄養状態の悪さがうかがえましたが、元気でした。車内では大声で鳴き続けていました」
お迎えを反対していた旦那さんも虜に
お迎え後は使っていなかった猫用ケージを組み立て、胡桃ちゃんが過ごせるように準備。組み立てている最中、胡桃ちゃんは背中に登り、毛づくろいをしました。
「里親を探そうと思っていましたが、この瞬間から手放せない予感はしていました」
保護後は動物病院へ連れて行き、ノミ駆除。猫風邪を患っていたため、投薬治療も開始しました。
当初、旦那さんは胡桃ちゃんを迎えることに猛反対。しかし、足にしがみついてよじ登るというあざとかわいい攻撃を受け、すっかり虜に。
「お迎え翌日には、『名前は何にするの?』と聞かれました。胡桃のかわいさの勝利でした」
胡桃ちゃんは初めから人懐っこく、アクティブに活動。澤部さん宅には先住猫だけでなく、先住うさぎもいるため、少しずつ慎重に触れ合わせ、「うさぎは家族」と教えました。
たっぷり愛情を注がれた胡桃ちゃんは、高貴なお顔の美猫に成長。しかし、やんちゃな性格はそのまま。自宅では一番の凄腕ハンターです。
なお、2匹の先住猫たちは胡桃ちゃんが来てから、お兄ちゃん、お姉ちゃんらしくなったそう。そうした変化も澤部さんの目には、微笑ましく映りました。
ギネス記録に載るくらい長生きしてほしい
お転婆で遊び好きなまま、大人になった胡桃ちゃんには他にもユニークな一面が。それは、驚いた時に「ニャ!?」と分かりやすい疑問系で鳴くところです。
「いつも私の足元で寝ているのですが、夜中に寝返りを打つと、時折「ニャ!?」と聞こえてきます(笑)」
また、ちょっぴりヤキモチ焼きなのか、澤部さんが他の猫を撫でていると妨害!わざと間に入り、構ってアピールをします。
「もともと2匹も猫がいて幸せだったのですが、3匹いると必ず1匹は視界に入るので、より多幸感が増しました」
そう話す澤部さんの願いは、これからも愛猫たちに元気で過ごしてもらうことです。
「出会った当時、複数の人がいたのに私のところへまっすぐ寄ってきたのは、今思うと運命的だった。ギネス記録級に長生きしてほしい。寿命を分けてあげたいくらいです」
この人なら、私を幸せにしてくれる――。出会った時にそう見抜き、澤部さんを選んだ胡桃ちゃんのニャン生が今後も明るいものでありますように。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)