SNS上でも頻繁に目にする「トイレのニオイ」、来客前にいくら掃除しても消えないとなれば…。
「どんな芳香剤置いても独特なニオイが消えないのなんで」
「トイレ掃除しっかりしたのに若干アンモニアみたいなにおいするんだけど何処が原因?」
「もしかしてスリッパに染み込んでる?」
しっかり掃除をしても消えないニオイについてみなさん悩んでいる様子です。
そこで、ニオイの原因やトイレ掃除についてハウスクリーニングのプロである株式会社ダスキン(本社:大阪府吹田市)メリーメイド担当者に取材。トイレの相談として多いのは、やはり「汚れやニオイについてのお悩み」とのこと。年末の大掃除も迫るなか、日常的にできるおそうじのアドバイスをいただきました。
飛び散った尿のほか…原因の可能性はいくつも
――掃除をしても消えないニオイ、原因は?
一番に考えられるのが「飛び散った尿」です。男性が立って用を足す場合、実際には目にみえないほど無数のしぶきが飛んでいます。座ってする場合でもわずかな隙間から床にまで飛び散る可能性が考えられますし、便座の裏側に飛び散っていたり、壁に付着していることもあります。
その飛び散った尿をそのまま放置すると、尿に含まれるカルシウムなどの成分が空気に触れて化学反応をおこし、「尿石」へと姿を変えます。鼻につくアンモニア臭の発生源です。黄ばみとなって便器に固くこびりつき、ホコリなどの付着で雑菌も増殖します。放置すればするほどイヤなニオイは発生し続け、汚れは一層頑固になっていきます。
――飛び散った尿!見えづらいですし、その可能性がある場所はすべて早めに掃除した方が良さそうですね。ホコリの掃除も必要、と。
ホコリも雑菌の繁殖を招き、ニオイの一因となります。また、便器の縁の裏側やタンク内、壁や床などに黒カビが発生していないかにも気をつけていただきたいです。
――「下水のニオイ」が気になるといった声もありました。
トイレの便器内に常時たまっている水を「封水」といい、下水管と直結するトイレに悪臭を逆流させない大切な役割を担っています。旅行などで2~3日間トイレを使わなかった場合、たまったままの封水が次第に蒸発してしまうため、水量が減少。「ニオイの蓋」が薄くなるため、下水のニオイの侵入を許してしまいます。
また、風呂の排水など、一度に大量の水を下水管に流した場合に封水も一緒に流れてしまうことがあります。この時も下水臭の逆流に注意が必要です。さらに、配管の詰まりなどの不具合に起因する場合もあります。
――念入りに掃除してもニオイが取れない場合はいったいどうすれば?
便器の縁の裏や便座と便器の間、備品(トイレマット、スリッパ)などにニオイの元となる汚れや雑菌が繁殖している可能性があります。これらは掃除の際に見落としが多く、ニオイの発生源になってしまう場所の一つです。
便器の縁の裏にかえしがあるタイプのものは、縁に沿って内側もブラシで隅々までこするようにしましょう。また、便座の裏側の凹凸や便座と便器の接合部、備品なども、拭き残しがないように水に浸し固く絞ったぞうきんや除菌クロスで(※)拭いていきます。そして、最後に乾いたぞうきんでもう一度全体を拭くようにしてください。
(※備品の素材をご確認の上、ご使用ください)
――黄ばみなど汚れがひどい部分はどのように掃除を?
トイレ用洗剤をかけて、トイレットペーパーを貼り付け、30分ほど放置しブラシでこすってください。それでも汚れが落ちない場合、この作業を繰り返してみてください。汚れが落ちたら一度水を流し、汚れや洗剤をしっかり洗い流してください。
どうしても取れない汚れがある場合、水に湿らせたジーンズ生地にクリームクレンザーをつけ、汚れの部分をこすります。頑固な尿石などには耐水ペーパー(1000~1500番)でこすり取るのも有効です。ただし、便器にキズがつく可能性もありますので、状況を見ながら作業をすすめてください。
――市販の芳香剤や消臭剤、コーヒーの出し殻、炭などのニオイへの効果は?
ニオイが気になる方は置くことをおすすめします。芳香剤や消臭剤にはトイレ以外の特定の場所用に特化した商品も多く存在するので、トイレに適したものか購入時にご確認ください。しかし、消臭剤などは、あくまでも一時的にニオイを緩和してくれているにすぎません。ニオイの原因となる汚れやカビを除去しない限り、ニオイそのものをなくすことはできません。嫌なニオイを解決するには、掃除が必要です。
洗剤にも注意点が…有毒なガス発生の危険性も
――トイレの掃除道具も用具や洗剤等さまざまありますが、使用の注意点を教えてください。
トイレ以外の掃除にも共通することではありますが、「材質や用途に合った用具や洗剤を使い分けること」が故障や傷がつくことを防ぐために重要です。取扱説明書を確認し、掃除用品を選ぶようにしてください。そして、洗剤の使用後には”水で流す””拭き取る”ということを忘れないでください。
――洗剤をしっかり流して、水分を拭き取って乾かすこともポイントなのですね。
普段の掃除と、ひどい汚れの時に行う念入りの掃除とで、使用する洗剤を使い分けることもおすすめです。
便器内部の普段の掃除には肌や材質へのダメージが比較的少ない中性タイプのトイレ用洗剤を使用し、それでも汚れが取れなければ酸性洗剤を使ってください。「まぜるな危険」と表示されている「塩素系のもの」と「酸性タイプのもの」が混ざると、有毒な塩素ガスが発生して、とても危険ですので、同時使用はしないでください。
――洗剤を適切に使いながら隅々まで掃除すべきだということがわかりました。
どこにニオイの発生源が隠れているかはわかりません。こまめに掃除することに加え、普段手入れをしない換気扇のような場所も定期的にメンテナンスすることで、嫌なニオイへの発展を防ぎましょう。
――あれこれ試してもニオイが取れない場合は、やはり業者さんに?
特に深く染み込んでしまったニオイは市販の消臭剤やクリーニングでは完全に除去できないことが多いです。そのため、まずは専門知識や専門技術を持つプロにご相談いただくのが良いかと思います。
◇ ◇
毎日使う場所だからこそ清潔な空間を保ちたいもの。とりわけニオイは空間の快適さと直結します。とにかく日頃からのこまめな掃除や「頑固な汚れ」をしっかりと落とすことがニオイ対策に効果がありそうです。年末の大掃除が少しでもラクになるように、今からでも少しずつ、まずはトイレから念入りにお掃除してみるのはいかがでしょうか。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)