「七味は常温で保存。
と信じているみなさまへ。
『放射線照射による殺菌』が認可されていない日本において、香辛料の品質管理に最大限の注意を払っていますが、稀に虫の卵が混入しそれが『ふ化』する場合があります。
そのため冷蔵庫または冷凍庫にて保存してください。
(注意喚起表記されています)」
こんな呼びかけがXに投稿されました。投稿したのは、大学院で公衆衛生学を専攻し、食品安全や食品衛生、リスクコミュニケーションについての講義・研修をする「horiguchiitsuko」(@itsukoh0702)さん(以下堀口さん)です。
七味のパッケージ写真も投稿されていますが、そこには「開封後は、吸湿・虫害・褪色を防ぐため、冷蔵庫に保管し早めにお召し上がりください」と書かれています。筆者も家にあったスパイスを確認してみたところ、メーカーに関係なく同じ注意書きがありました。
リプ欄には「仕事場でも棚に置いてたら虫が湧きました。一度で懲りて冷蔵保存しています」「この前あれ?こんなゴマ多く入ってた?思ったら虫でした…中が見えない缶の恐怖に耐えられません…冷蔵庫入れます…!」などと、常温保存していて虫が発生したという人のコメントも寄せられています。
堀口さんは、「いくつかの大学で食品安全の講義をしていますが、七味のビンや缶に記載されている注意喚起を読んでいる人が非常に少ないことが多いので、『メーカーからの注意喚起を読んでもらいたい』というポストです。問い合わせをみていると、七味や虫害に限らず、製品由来とは別に、私たち消費者側に問題がある(適切に保存していない)場合があります」と話します。
虫の卵の混入の恐れをポストしましたが、現在は原材料に卵が混入することは極めてまれとしつつ、「風味を損なわずに」殺菌するため、欧米では放射線照射がおこなわれていることも伝えるポストでした。
七味などのスパイスに虫の卵が混入していることはあるのか、香辛料の販売をおこなう「ハウス食品グループ本社」の広報担当者さんにお話を聞きました。
──開封後に冷蔵庫保存をするというのは、七味だけでなくスパイス全般に共通ですか?
スパイス全般に共通です。
──未開封のスパイスに卵が入っていて孵化することはあるのでしょうか?
ハウス食品のスパイスは、加熱殺菌等での衛生管理、密閉性の高い容器キャップへの改良、冷蔵庫保管を勧めるパッケージ表示等、進めてきました。その結果、現在、七味唐辛子のお客様から虫害のお申し出は、ほとんど無くなりました。今後とも、品質の改善・お客様とのコミュニケーションに努めてまいります。
──以前は冷蔵庫に入れていないと、開封後に虫が入ってしまうということがあったのですね。容器の改良はどのようなものなのですか?
お客様にとって、より使いやすく、より便利に、そして安心できる設計を目指して、2012年にパッケージの改良を実施しました。改良点のひとつに、虫の侵入を防止する工夫をしています。一味・七味唐がらし等のスクリューキャップタイプでは、開閉時のキャップをひねる角度を少なくし(1ひねりで開閉できるようにし)、閉め残ししにくい仕様に改良しています。また、蓋を閉めた時のカチッとするクリック感により、閉まっていることが分かる仕様にしています。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)