海外で暮らす日本人女性が体験した出来事がネット上で拡散しています。投稿したのはシンガポール在住でブログ「Cocoa's シンガポール ライフ」を運営するCocoaさん(@CocoaSingapore)。くわしく話を聞きました。
日本人グループ、現地の人、外国人の行動は?
Cocoaさんは11月中旬、旅行でタイのバンコクを訪れました。ベビーカーに子どもを乗せ市内を歩いていたところ、思わぬアクシデントに見舞われます。小さな穴にベビーカーの車輪がはまってしまったのです。
「日本食材を扱うスーパーがあると知って、ホテルから歩いて行きました。繁華街の大きい道から少しはずれたところにあるので、舗装はされているけれど、大きな通りから一本外れたがたがたの道で、小さな穴や石ころがたくさんありました。スーパーで購入した重い物をベビーカーの下に積んでいたのでバランスを崩したのも原因だと思います」(Cocoaさん)
慌てた瞬間、Cocoaさん親子の横を仕事仲間のような日本人男性のグループが通りがかりました。彼らは親子を見ながら「この街でベビーカーは大変だなあ」「でも10年前よりは街もきれいになりましたよ」。Cocoaさん親子に声をかけたり、助けたりすることもなく、通り過ぎたそうです。
親子を助けにきてくれたのは現地の人たちや外国人でした。穴からベビーカーを持ち上げる人、周辺の交通整理をする人、大きな通りまで道案内してくれる人など。
「タイ人マダムが寄ってきて、ベビーカーを動かしてくれようとした時に、白人男性がさっと来てベビーカーを持ち上げて出してくれました。Thank you!とお礼を伝えると、目の前ではアジア人男性が向かいから来た数台のバイクを誘導してくれていました」(Cocoaさん)
日本人グループの中の一人だけは最後まで気にする様子だったそうですが、結局駆け寄ってくることはなく、Cocoaさんは「いろんな意味で泣けてきた」といいます。
「海外で多い小さな優しさは、『助ける』というほど大袈裟なことではなく、息をするように他人と関わることだと思っています。例えば、空港で重い荷物を取りあげるときさっと横から助けてくれる、ベビーカーで歩いていてドアを開けようとすると開けてくれるなど。特に赤ちゃんや子ども連れの際には、本当に小さな優しさが身にしみますし、孤独を感じず、コミュニティの中で子育てをしていることを感じます。日本では『一人だけ違うことをしたらどうしよう』と、他人と違うことをすることを極端に恐れるがゆえ、子どもにでさえ無関心でいる、関わらないことがマナーな気がします」(Cocoaさん)
◇
Cocoaさんの投稿は127万回以上表示され、SNSユーザーからは「助けてくれた話じゃないんだ」「助けなかったのか」「信じられない」「ふつうは助けます」「残念すぎる」「日本人のグループはなんで助けなかったんだろう」「日本人として恥ずかしい」「悲しい世の中だな」などの声が上がっています。中には批判のコメントもあったそうで、「批判で多かったのが、『海外で言葉が通じなかったから助けなかったのではないか』『助けてほしかったら自分で声をあげようよ(自業自得)』『詐欺なんかもあるので簡単に助けてられるか』というものでした」(Cocoaさん)。
目の前でベビーカーの親子が困っていたら。あなたならどうしますか。
(まいどなニュース・金井 かおる)