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戻って来られないように足を折られ 山に遺棄された元猟犬が迎えた奇跡の再出発…保護施設で里親と運命の出会い

まいどなニュース 2024年11月30日 18時45分

山に遺棄された3本足の元猟犬。昨年5月に長崎県動物管理所に収容されていたところを、動物保護団体のNPO法人「アニマルレスキューたんぽぽ」(以下、たんぽぽ・大阪)が引き取りました。

「長崎県は殺処分も多いため、これまで収容された犬猫のレスキューを続けてきました。動物管理所の職員さんは当団体の管理、飼育をとても信用してくれているので当団体のレスキューにいつも協力的。昨年引き取ったこの子は、収容時、1本の足が折れていてガリガリにやせこけていました。捕獲された場所、犬の種類、人慣れからみて、明らかに猟犬で利用されていたようです」という、たんぽぽの代表本田千晶さん。

さらに「猟犬は一般家庭ではなかなか受け入れられないうえ、体も大きくよくほえることからなかなか里親が見つからず。そこで収容期間を延長して里親を待ちましたが、それでも声が掛からず…正直、当団体も里親へ譲渡するのは難しいと思い、終生保護覚悟でレスキューしたんです」などと振り返ります。

元猟犬を引き取りすぐに獣医に診てもらったところ、明らかに不自然な3本足。実は、折られていた1本の足の骨は上に曲げて折られていたことが分かったのです。それは、ハンターが利用価値のなくなった猟犬を捨てる時にわざと足を折り戻って来れなくするためだといい、「人にも他の動物達、小型犬などにも優しく獲物を追いかけさせる猟犬としては利用価値がなく足を折り遺棄したと考えられます」と本田さん。

一方で、人が離れるとほえて鳴き声も大きくなることなどから、当時家庭で飼育することは困難だと思い里親を見つけることは半ば諦めていたといいます。

猟犬として利用価値がなく足を折り遺棄か

元猟犬は「スシ太郎」と名付けられ、たんぽぽの保護施設で暮らすことに。スシ太郎くんは推定7歳の男の子。施設で残りの“犬生”を遂げるつもりでしたが…ある時、運命の出会いがあったのです。京都在住の人が施設に見学に訪れ、「最後の自分の子にしたい」とスシ太郎くんの里親になることを申し出ました。

「保護犬をおうちにお迎えしようとわざわざ見学に足を運んでくれた方が、スシ太郎を気に入ってくださり正式譲渡となりました。この子はさびしがり屋なので京都の自宅で犬猫のトリミングサロンを経営されていることもあり、常に里親さんと離れることなく過ごすことができる環境がとても合っていて。里親に出してから、今ではほえることもなくなりとても幸せに暮らしているそうです。また3本足ながらも健気に歩く姿に心打たれ、散歩中も通り掛かった人たちから思わず声を掛けられるとか」(本田さん)

こうして元猟犬のスシ太郎くんは、斑与(ぶちよ)くんという名前に変わり、里親さんの元で楽しい日々を過ごしているそうです。

「ぶちよくんは、いつも里親さんと一緒に行動。旅行を楽しんでいるお写真などうれしい便りが私たちのところに届きます。レスキューした時はまさか里親さんが見つかると思わなかったので…本当にうれしく世の中、捨てたもんじゃない!と思いました。とはいえ一方で身勝手に遺棄したり、虐待したりする人たは後を絶ちません。私たち、保護団体が必要なくなる日がきてほしいと切に願います」(本田さん)

  ◇  ◇

今回里親さんと温泉旅行を楽しむスシ太郎くんことぶちよくんのことをX(旧Twitter)に投稿し、1.9万件いいねが付いたほか、「嬉しいです 笑顔見てると涙が...たんぽぽママさん、里親様本当にありがとうございます。幸せになって良かったね」「辛かったこと痛かったことに幸せの余りある上書きでの笑顔やね」と祝福のコメントが寄せられるなど話題になりました。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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