2024年6月、関西エリアのとある住宅街で暮らす複数の外猫さんたちの中に、首に何かがついている猫さんがいました。
「外猫さんだから、首輪などはついていないはずだけど…」と、猫さんの首に注目してみると、首輪にしては随分と大きな様子で、人間の赤ちゃんのヨダレかけのようにも見えます。さらに近づいてその猫さんを見てみると、それはなんとジョウロの蓋。当の猫さんもどうして良いかわからない様子でたたずんでいました。
ボランティアさんの依頼を受け専門業者がレスキューに乗り出した
この猫さんの存在を知った地元のボランティアさんは、なんとかして蓋を外してあげたいと思いました。しかし、この界隈で暮らす外猫さんたちはTNR済みで、人間にはやや警戒気味。通常のやり方ではそう簡単に捕獲できるとは思えませんでした。
ボランティアさんは、猫のあらゆる困りごとをサポートする会社「ねこから目線。」に相談。同社スタッフも「それは通常の捕獲方法では難しいだろう」と判断し、大型の「警戒心が強い猫さん用」の捕獲機を用意して、猫さんが姿を見せる付近へと向かいました。
ジョウロが巻き付いた教訓からか、警戒気味の猫さん
現場で様子をうかがうこと1時間ほど。ようやく該当の猫さんが姿を表しました。スタッフの目から見ても、確かに首にハマっているのはジョウロの蓋。
さっそく付近に捕獲機とエサをを設置し、猫さんがスペース内に入ってくれることを待ちましたが、入ってくるのは他の外猫さんばかり。肝心のジョウロの蓋が首に巻かれた猫さんだけが捕獲機スペースに近よろうとしません。
想像では「うかつに知らないところでエサなどを得ようとすれば、また痛いめに遭う」と思っているようにも感じます。
しかし、他の外猫さんたちが捕獲機スペースに入り、うれしそうにエサを口にしている様子を見て安心したのか、少しずつ該当の猫さんが近づいてきました。
無事レスキュー。動物病院でジョウロの蓋を取ってもらうことに
そして、ゆっくりゆっくりとエサのほうにやってきて、捕獲機のエリア内に入ってくれました。ここで捕獲機をガシャンと作動させたいところですが、このエリア内には4匹の猫がいます。一気に捕獲するには多いため、スタッフはさらにジッと待ち続けることにしました。
そして、捕獲機エリアから1匹が離れ、3匹になったところでトラップを作動。ガシャンと檻が閉まったところで、なんとか該当の猫さんを確保することができました。
同時に入ってしまった2匹は安全な場所へと逃がし、猫さんを依頼主のボランティアさんに引き渡すことができました。後に猫さんは動物病院へと連れて行かれ、無事にジョウロの蓋が取れ、元いたエリアへ放されました。
実はそう珍しくない「首に何かが巻かれてしまう」事故
「外猫さんの首にジョウロの蓋が挟まるなんて不運すぎる」と思いますが、「ねこから目線。」のスタッフによると、実はそう珍しいことではないとも言います。
特に夏場は、喉が渇かせた外猫がジョウロの中の水を求めて首を突っ込んでしまい、そのまま抜けなくなることはたまにあるとも。また、そういった猫のレスキューもこれまで多く行ってきたとも。
そして「外猫さんを見守る人には注意をして見守ってほしいし、できれば、庭や勝手口があるお家は外猫さんが安全に水を飲めるよう、お皿などに入れて置いてほしい」とも言います。人間の小さな優しさが外猫さんの事故を防ぐ行動になるのだと気付かされるお話でした。
ねこから目線。
https://nekokaramesen.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)