「一人暮らしの婦人が亡くなりました
そばにいたのは この男の子
彼はずっとそばに寄り添って
寒い部屋の中で
水もなくご飯もなく辛抱していました」
一人暮らしの女性が亡くなったマンションの部屋に、1匹の犬が置き去りになっていたことを、保護ボランティアの「レスキュードッグ 春」さん(@rescue_dog_haru)がInstagramで報告。女性が住んでいたマンションのオーナーさんから相談を受けた春さんは11月下旬、部屋に訪れて寒くて暗い部屋でひとりぼっちになっていた犬を保護したといいます。
「ひとりぼっちで3日間亡き飼い主さんに寄り添っていたポメラニアンの男の子。飼い主さんが亡くなっているためだいたいのことしかわかりませんが、年は7歳から10歳くらいだと思われます。名前を九(きゅう)ちゃんと付けました。九ちゃんは、亡くなったご婦人と二人暮らし。あまりに郵便物がたまっていたので、貸主に連絡を入れ鍵を開けたところ、九ちゃんが寄り添っていたと聞きました。ご遺体は警察にいったそうです。
私が保護に行った際、九ちゃんは悲しそうな顔で震えながらほえていましたが…マンションのオーナーさんによると、普段ほえないから犬がいることも分からなかった、と言っています」
一人暮らしの飼い主が突然死 生前にすべきこととは?
こうして保護された九ちゃん。春さんのおうちにお迎えしたばかりの時は、ドッグフードは全く食べず、人間の食べるものばかり欲しがっていました。しかも下痢が続き2度病院に。「飼い主さんが自分の食べるものをあげていたんだと思います」と春さん。とはいえ、今は少しずついやいやながらもドッグフードを食べるようになったとか。また春さんのおうちにお迎えして数日経ったある日、ドアをあけると急いで外に出ようとしていたそうです。
「ガラス越しにずっと外を眺めている後姿、見てるのも辛い。九ちゃん、今自分がいる現実を受け止められないようで…突然の飼い主さんとの別れ。住み慣れた家から我が家に連れて来られたくさんの犬たちの中での生活はしんどいと思います。願う事は、新しい家族が見つかってほしい。それだけです」
新しい環境になかなか慣れなかった九ちゃんでしたが、徐々に慣れてきたのか気に入らないことがあれば春さんをかむようになったとのこと。春さんは「普段は甘えん坊でいい子なのですが…元気が出てきたのかもしれません」と話します。
とにかく九ちゃんが無事だったことが何よりも救いという、春さん。置き去りになっていたことを気付くのが遅れていたら、九ちゃんも命を落としていたかもしれません。今回のような一人暮らしの飼い主さんの突然死。自分の身に何か起きた際に備えて、ペットを飼う一人暮らしの人たちが事前に何をすべきか? 春さんはこう訴えます。
「まず名前や年齢など犬の情報を書いて誰でも分かるところに貼っておいてほしいです。それから必ず連絡とれる身内の方やお知り合いの方の連絡先も書いていただけたら助かります。高齢の方は特に後見をみつけておくべきだと思います」
◇ ◇
「見つけてもらってよかった」「この子が助かって良かった」
置き去りになっていた九ちゃんの投稿には、切ない思いや感謝の気持ちを伝えるコメントなどが多数寄せられ、話題になりました。
「大好きな飼い主さんが亡くなった事も理解出来ないまま、寒くて暗い中、食べる物も水もない中、離れずずっと寄り添って居たのかと思うと、涙が止まりません」
「この悲しそうなお顔みると、苦しくなります どうぞ、このワンちゃんが、これから明るい日々を過ごせますように」
「見つけてもらってよかった、綺麗にカットされお目々周りもきれいで飼い主様に愛されてたんだなーとわかります。新しい家族の元で余生たのしんでね」
「亡くなられたご主人様にずっと寄り添っていたなんて…この子が助かって良かったです。ありがとうございます」
「こんな可愛い子をおいていくのはきっと心配だったに違いない…残されたこの子を幸せにしてあげて欲しいです」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)