会社の同僚から「使い終わった教材」を譲り受けたYさん（49）。息子の学習に役立つと喜んだのも束の間、その後に待ち受けていたのは「お返し」の悩みや思わぬ落胆でした。「タダより高いものはない」と実感したといいます。
英検準1級のテキスト、ありがたいけれど…
「娘が使い終わった英検準1級のテキスト、3～4冊があるんだけどいらない？」
Yさんは会社の同僚からこんな申し出を受けました。英検準1級の教材は「単語」「文法」「面接対策」など複数冊必要で、その価格も決して安くありません。大学受験前に英検準1級を取得しておくと有利だと思っていたYさんは、現在高2の息子にとって役立つと考え、二つ返事で「ぜひ！」と応じました。
ところが、「タダより高いものはない」とはよく言ったものです…。
お返し問題：図書カードか菓子折りか
いただき物にはお返しをするのが礼儀。しかし、「お下がり」の教材に新品のような価値はありません。とはいえ、何もしないのは気が引ける…。悩んだ末、「図書カード数千円分が無難かな？」と一瞬思いましたが、それでは新品購入と変わりません。しかも、教材を使ったのは同僚の娘さんですが、購入したのはその保護者である同僚の可能性が高いことに気付きました。図書カードだと、娘さんにお礼することになるかもしれない…別の方法を模索しました。
そんな中、近所のスーパーで年に一度のワインセールを発見。普段4000～5000円のワインが1000円均一になっていました。「これだ！」と思い、赤ワインを一本購入。センスがありつつ、お得感も満載のベストなお返しのつもりでした。ところが…。
夫の反論：常識が違った
「お返しはワインにしたよ」と夫に見せたのですが、返ってきたのは厳しい言葉でした。
「普通、お返しは菓子折りだろう」
「それにワインなんて、重くて荷物になる。まして好みもあるだろう？」
確かに、夫の意見には一理あります。同僚がお酒を嗜むことは知っていましたが、ワインの好みまでは把握していませんでした。Yさん自身も別にワインに詳しいわけでもありません。結局、百貨店で3000円程度の菓子折りを購入し直し、改めて渡すことにしました。
現実と理想のギャップ：テキストへの落胆
しかも、譲り受けた教材を息子に見せると、予想外の反応が返ってきました。
「これ、ところどころ書き込みがあるし、別冊の解答用紙がないよ」
「今まで使い慣れている出版社のがよかったな…」
確かに教材には書き込みや折れ目があり、状態は良いとは言えませんでした。1000円のワインに、3000円の菓子折り…お礼の品の金額を考えたり、不満そうな息子の反応を見たりしているうちに、「最初から新品を買えばよかった」という後悔がじわじわと押し寄せてきました。
あのことわざが身に染みる
タダでもらえるものには、理由があることが多いものです。特に子どもが使う教材は、新品を購入することで学習モチベーションが上がる可能性が高いと、Yさんは改めて感じました。しかし譲り受ける前に「状態はどんな感じですか？」とはなかなか聞きづらいのも事実です。
「タダより高いものはない」ということわざが身に染みた一件でしたが、それでも誰かの善意に感謝を忘れず、前向きにいきたいものです。
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あなたのお返しの品エピソードを教えてください。
▼30代 東京都
おさがりのベビーカーをもらった際に、お返しに悩みました。ベビーカーは高価なので。地元で有名なお菓子屋さんでクッキーの詰め合わせを買って渡しました。でも、「気にしなくていいよ」と言われて、逆に恐縮してしまいました。
▼30代 神奈川県
チャイルドシートを譲ってもらったので、デパートの商品券を1万円分をお返ししました。でも、相手から「逆に申し訳ない」と驚かれました。でも新品を買うよりは安いです。
▼30代 愛知県
親しい友人からベビー服をもらったけれど、「お返しはいらないから！」と言われて本当に何も返さなかったら、後になって気まずく感じました。やっぱり気持ちだけでも何か渡すべきだったと思います。
▼40代 石川県
自分の子ども二人が使ったバウンサーをあげました。お返しは手作りのクッキーで、心がこもった気遣いが嬉しく、子どもたちと美味しくいただきました。
▼40代 福岡県
ベビーベッドを譲りましたが、私もその別途は先輩ママから譲り受けたものだったので「お返しは不要だよ。あなたもいらなくなったら誰かに譲るか処分してね」と伝えました。処分するにもお金がかかるものなので、負担をかけたくないです。
（まいどなニュース特約・松波 穂乃圭）