津波の際は「田中さんの畑」に逃げろ!?高知県南西部にある大月町柏島地区にある看板が、X上で注目を集めている。「避難場所 田中さんの畑」と矢印付きで書かれた看板。避難所と言えば、学校や公民館といった公共施設が指定されることが多い。珍しい看板に、「個人の土地を使うのは田舎ならでは」「どの田中さんなのか分かるのがすごい」などの声が寄せられている。
投稿したのは、高知県土佐市にある酒蔵「亀泉酒造(@Kameizumi_Sake)」。看板は今年4月末、柏島地区を訪れた際に撮影したものだという。県南西に位置する大月半島の先端に位置し、半島と2本の橋でつながる柏島。透明度が高いエメラルドグリーンの海は「柏島ブルー」と呼ばれている。
島の手前までを含めて柏島と呼ぶことが多いといい、「看板は島の手前で撮影しました。存在は知っていましたが、田舎あるあるだと思ったので、特に気にも止めてなかったんですが…」と亀泉酒造の担当者。高知県の県民性を「住人同士が共存している感じです。過度な干渉はしないけど、助けを求められたらめっちゃ助ける県民性ですね」と説明する。
加藤宅前、山本宅上…
ではなぜ、個人の土地が避難所になっているのだろう。大月町の公式ホームぺージを見ると、「田中さんの畑」は柏島地区の津波避難場所に指定されていた。別の地区では、「柿本邸付近」「宮崎克明宅裏山」「加藤宅前」「山本宅上」「山口宅の上」…と個人の土地が指定されるケースも多かった。
大月町危機管理室によると、想定される津波高より高い位置にあり、ある程度の収容人数が確保できる場所が避難場所となる。個人の土地も含まれるといい、地権者と協議の上、避難場所として指定するという。標記が苗字だけの人と、氏名が全て書かれた人がいるが、「標記の違いに意味はないかと思います。指定した際の地権者さんの意向ではないでしょうか」と話す。
ただ、ホームぺージには住所も書かれていない。町の人たちは場所は分かるのだろうか?聞くと、「地区の方ならわかると思います」と回答。また、大月町内の人口は12月1日時点で3974人。「各地区ごとの人数が少ないため、住民の方同士ならどこの誰かわかるような地区もあるかと思います」とした。
(まいどなニュース・山脇 未菜美)