とある事情から関西エリアの心優しい飼い主さんの家に迎えられた推定年齢4〜5歳のキジトラのそらくん。
たっぷりの愛情を受け、このお家でのんびり過ごしていたましたが、一週間ほどしたある日の早朝、そらくんの姿がいつもの部屋から見えなくなってしまいました。
3軒先の民家の屋根へ
慌てた飼い主さんは、「そらくん!そらくん!」と部屋中を探し回りました。すると、網戸の切れ目から外に飛び出した形跡が。
飼い主さんは網戸からの移動経路を想像しながら付近を探すと、3軒先の家の屋根の上にそらくんの姿が見えました。
その民家を訪ねるも、そらくんはまたも姿を消してしまいました。こうした経緯から飼い主さんは「プロの手を借りたほうが良い」と、猫のあらゆる困りごとをサポートする会社「ねこから目線。」に捜索を依頼しました。
程なくして同社のスタッフが飼い主さん宅を訪れました。前述のそらくんが発見された民家にも一緒に交渉に来てくれました。
プロの目から見て「この辺に潜んでいるかもしれない」という場所は、民家の方が立ち入って欲しくないとのこと。交渉を重ね、数日間、カメラの設置だけを許可してもらいました。
9日目カメラに映り込んだ
それから数日。そらくんがカメラに映ることはなく、民家の人も「これ以上、立ち入らないでほしい」とおっしゃり、ここでカメラを撤去しました。
飼い主さんとスタッフは周辺の別の家の協力を得て、カメラを設置。すると、それから9日目にしてやっとカメラの前にそらくんが現れました。
外に出たそらくんは本能や好奇心を刺激されたのか、周辺を探索しながらカメラ前のエサもしっかりと食べています。
「ここに来ればエサにありつける」と学習し再び現れてくれることを期待し、捕獲機を設置し、しばし張り込み続けましたが、用心深いのか、以降訪れるのは別のさくら猫さんばかり。この場所も撤収することになりました。
アライグマや別の外猫ばかり
一歩進んで二歩下がるようなもどかしい日々でしたが、同時期に近隣の住民から「当初過ごしていた民家の庭で、そらくんが日向ぼっこしている」という情報が寄せられ、遠目に撮られた写真も送ってくれました。
しかし、この家の方から協力してもらうことは困難です。またもやもどかしい時間が過ぎましたが、「できることをやるしかない」と付近にカメラを設置。そらくんが周辺に出てきてくれることを待ち続けました。
それから一週間。カメラに映り込むのは、アライグマや外猫さんばかり。「そらくんはまた別のどこかに移動してしまったのだろうか」と肩を落とす飼い主さんとスタッフでしたが、ここで急展開が起こりました。カメラにそらくんが映り込んだのです。
3週間の捜索劇の末に無事保護
さっそく捕獲機を設置。そらくんは、捕獲機の中のエサを遠目に見つつ、他の外猫にエサを譲ります。それだけ用心深いということなのでしょうが、そこからもそらくんはなかなか動こうとしません。
「今日もダメなのか」と諦めかけたそのとき、ついにそらくんに動きが。そぞろ歩きで捕獲機の中のエサに近づいたところで、捕獲機を作動。無事に保護することができました。
保護までに要した日数はなんと約3週間。飼い主さんにとってもスタッフにとっても、気が気ではない日々でしたが、そんな心を癒してくれるのは、そらくん自身の安心した表情。「僕だって怖かったんだよー」と言わんばかりの甘えぶりを前に、「もう外に出ないでね」と優しくなでてあげる飼い主さんでした。
(まいどなニュース特約・松田 義人)