廃棄衣料を再利用した土で和木綿を育てる活動を続けてきた京都市下京区のリサイクル着物会社「OCHICOCHI(オチコチ)」が、手作りの和綿を使った布地で着物を仕立て、販売を始めた。和綿は江戸時代まで日常着に使われていたが、現在は国内自給率ゼロ。和綿の魅力を伝え、廃棄衣料も減らしたいと、市民に協力も募って栽培を進めてきたといい、「循環に対する思いが詰まった着物をまとってほしい」としている。
和綿は、明治後期に繊維が長くて安価な洋綿が輸入され、急速に衰退した。同社のたなかきょうこ代表は、ふんわりした肌触りの和綿を途絶えさせまいと、2017年に古着を再利用した園芸土で栽培を始めた。21年からは市民に協力を求め、市内を中心に20家族が賛同してくれたという。
今回製造した布地に使った綿花は約2600グラム。7割を占める種を取ると実質の綿は約800グラムしかない。木綿の着物1着には綿が約4キロ必要なため、量は全く足りないが、古着や廃棄糸を綿状に戻して繊維として再利用する「反毛」に混ぜ込んで紡績した、すべてリサイクル素材による糸で布を織った。
布地1枚に対し、育てた和綿の含有率は0・28%とごくわずかだが、たなかさんは「含有率は少ないが、廃棄衣料をなくすという意識を象徴する布としてアピールしたい」と言葉に力を込める。廃棄衣料は年間100万トンにものぼるという。
9月下旬にお披露目会があり、京都の職人による手描き友禅や絞り染めを施した着物を展示した。たなかさんは「製品を作ることで、和綿にまつわる伝統技術も残していきたい」と話す。来春以降も、栽培に協力してもらえる市民を募るという。
反物で販売している。柄により1反約4万~8万5千円(仕立て代別)
(まいどなニュース/京都新聞)