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6年間もケージの中 幸せを知らずに育った繁殖犬のシェルティ 緊急手術で救われた命 幸せへの優しいリレーが始まった

まいどなニュース 2025年2月2日 15時30分

きれいな毛並みと笑顔がかわいいシェルティの甘夏ちゃん。おっとり穏やかな性格の6歳ほどのワンコです。

いつも笑顔で穏やかな毎日を送っている今では全く想像できませんが、実は一時は命に関わる持病を抱えながらも、放置されていた過去がありました。

あと少し遅ければ亡くなっていたかもしれない

甘夏ちゃんは「繫殖犬」として非道なブリーダーの元で育ち、6年もの間、犬らしい幸せを与えられぬまま、望まぬ妊娠・出産を強いられていました。

こういった影響からか甘夏ちゃんは子宮蓄膿症を患っていました。子宮蓄膿症は放置していると、子宮が破裂し膿が全身に回り腎臓等の機能を低下させるなどして命を落とす病気です。早い場合、発症後わずか1週間で命を落とした事例もあるといいます。

甘夏ちゃんの存在を知った静岡県の保護団体・スリールでは、すぐに現地ボランティアさんに引き出してもらい、保護したその足で動物病院に連れて行ってもらうことにしました。甘夏ちゃんの子宮は既に膿でパンパンに張れており、すぐに緊急手術。なんとか一命をとりとめました。

術後しばらくは体調が良くない甘夏ちゃんでしたが、日々の皮下点滴により、2週間ほど経過すると、ご飯を完食できるようになるまで回復しました。

先住犬の真似をして人間に甘えて見せるように

後に甘夏ちゃんは団体提携の預かりボランティアさんのお家で生活することになりました。

当初は極度に怖がり、おびえながら控えめに尻尾を振っているだけでしたが、次第に慣れて少しずつケージから出てきてくれるようになりました。

「この家では、あんな辛いことをしないで済むんだ」と理解し、安心したのか、どんなものにでも興味を持ち、うれしそうに遊ぶように。6年間もケージの中だけで過ごしてきた甘夏ちゃんにとっては見るもの全てが珍しく、そして輝いて見えたことでしょう。

預かりボランティアさんの家にいる先住犬とのコミュニケーションもバッチリ。先住犬の甘え方を真似して、一緒にオヤツやエサをおねだりするようにもなりました。

甘夏ちゃんの元についに「うちにおいで」の声が

当初はほとんどできなかった散歩、留守番なども少しずつ上達し、賢い一面も見せるようになった甘夏ちゃん。そのお利口さんぶりとかわいさもあって、譲渡会ではたくさんの来場者に撫でてもらうなど、6年間過ごした暗いケージの中とはまるで違う明るい日々を送っていました。

そしてついに「甘夏ちゃんを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。

団体では里親希望者さんに「甘夏ちゃんはだいぶ心を開いてくれたものの、家庭犬として当たり前の生活を送れるようになるまで、まだまだ半年以上はかかる」と伝えましたが、「承知している」とのことでトライアル後に無事に正式譲渡となりました。

笑顔で団体を巣立っていった甘夏ちゃんですが、優しい里親さんのもとで、さらにニコニコの日々を送っていることでしょう。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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