2024年5月、とある保護団体が9匹の引き取り手のない生まれたばかりの子犬を保護。多くの保護団体はキャパシティいっぱいで保護犬の世話をし続けており、さらにミルクをあげられるボランティアさんが限られていることから、子犬たちの受け入れ先を探していました。
9匹のうち4匹を受け入れることにしたのが静岡県の保護団体・スリール。同団体に提携する預かりボランティアさんが4匹一緒にお世話をすることにしました。
ミルク大好ききょうだい
4匹に名付けられた名前は、それぞれ、ルー、グラン、ポー、ボン。4匹ともミルクをいっぱい飲んでくれスクスク成長。とにかくミルクが大好きで、きょうだい犬のお腹をオッパイと勘違いして吸ってしまうこともありました。
4匹ともやがて自分の足で少しずつ歩けるようになると、部屋中をチョコチョコ駆け回るようになり、なんとも愛らしい姿を見せてくれました。
その中で番大きかったのがグラン。部屋でフリーにしておくのは危ないと、ケガや脱出防止のサークルを準備し、グランを含む4匹にけがや事故などが起きぬよう、献身的にサポートを続けました。
亀の歩みで歩き始めたグラン
あれだけ短かった手足が伸びワンコらしくなったところで、まずはお庭デビューからのお散歩トレーニングをすることに。
お日様が当たるお庭に出てなれたところで、今度は人間に抱っこされた状態で外を歩きます。そこで外の音や匂いになれてから、自分の足で歩く練習をします。
最初は不安げな表情を浮かべ、外の匂いをクンクン嗅ぐ4匹でしたが、特に不安そうな様子なのがグランです。
あまりの怖さに「抱っこしてくれないと困ります」と消極的。それでも「大丈夫大丈夫。自分の足で歩いてごらん」と促すと、亀の歩みで少しずつ歩き始めました。
あまりの緊張で疲れた結果、部屋に戻ってからはバタンキュー。スヤスヤ眠る様子もまた愛くるしいグランでした。
一番のビビリで甘えん坊が幸せを掴んだ
4匹の中でも一番体が大きいのに、ややビビリで甘えん坊のグランでしたが、やがてすっかり成長。子犬の頃は茶色がかっていた被毛が白くなり、気づけば凛々しい姿に生まれ変わっていました。
そして、ついにグランに「うちにおいで」の声がかかりました。
お姉ちゃんとお兄ちゃんのいる優しい家族で、トライアルを経て正式に譲渡。いち早く幸せをつかむことができました。
体は成犬に近づきましたが、中身は子犬のまま。さらなる成長が必要ですが、この優しいお姉ちゃん、お兄ちゃんの元であれば立派なワンコになってくれるでしょう。
いつの日か一緒に過ごした4匹、そして預かりボランティアさんと再会し、そのお利口さんぶりを見せてほしいなと思います。グラン、いつまでも幸せに!
(まいどなニュース特約・松田 義人)