家づくりやマイホーム購入時に多くの人が直面する不安のひとつが「予算オーバー」です。
はじめから引っ越しや家具購入、各種手続き費用など、ある程度の上振れを見越して確保していても、予想外の出費が後から発生することに気がついて大変なことに……という話は少なくありません。建売の分譲戸建てを購入したある家族も、想像以上の「オプション」費用に驚いたといます。
あれもこれもオプションだったなんて……
結婚して数年、ローンの年数も気になるし、早めにマイホームを考えようと話し合っていたAさん(関西在住、30代、パート)夫婦。ネットで偶然見つけた建売物件の立地と外観が気に入り、とんとん拍子に契約まで進みました。
マイホーム購入についての知識はほとんどない中での家選びスタートでしたが、その地域で長く建売住宅を販売してきたパワービルダーが手がけた物件で、不動産会社で働く友人にも「いい物件だと思うよ」と太鼓判を押してもらったこともあり、なんと家探しをはじめてから1軒目の物件見学で即決してしまいました。
物件見学の段階ですでに工事の8割近くが完成しており、間取りや設備、外観もほとんど実物をチェックできたため、特に心配な点もなく、安心して進められたといいます。
ところが、ローンの申請も通り、契約手続きを済ませたタイミングで、営業担当者から「オプションのお申込はいかがされますか?」と言われ、A夫婦は顔を見合わせることに。
「…そういえば、渡された書類の中にオプションリストの書類があったような気がする…」
ローンの手続きに気を取られ、そのほかのことは後回しになっていたAさん夫婦。慌ててリストを確認すると、当然「標準装備」だと思っていた数々のものが「オプション扱い」になっていることに驚愕しました。
洗濯機を設置する洗濯パンに、網戸、カーテンレール、クーラー設置のためのスリーブ、テレビアンテナ、ウォークインクローゼット内部のハンガーパイプ、温水便座、バルコニーの庇や物干し竿の台、フローリングのフロアコーティングなど…。
カーポートや照明、エアコンなどは自分たちで手配するイメージがありましたが、網戸や洗濯パンなどは「あって当然の設備」だと思い込んでいたAさん夫婦。
標準だと思い込んでいたものがオプション扱いなことに、Aさん夫妻は「まさか契約したのは悪徳業者だったのでは…?」と疑念を深めます。しかし友人に相談すると「新築だったら分譲でもそれが当たり前。オプションリストを見ても、良心的な価格だと思うけど」と言われ、さらにびっくりしたそうです。
物件価格1割ほどの追加費用が
とはいえ「網戸なし」で窓を開けるなんて虫が侵入し放題ですし、そういうことは避けたいと思ったAさん夫妻。最低限のオプションに絞って発注しましたが、それでも物件価格の1割ほどの追加費用が発生しました。
思わず「初めからつけておいてくれたら、オプションの分も全額ローンに含められたのに」と営業担当に愚痴を言ったところ、「そういう訳にもいかないんです」という反応が。
「網戸も窓のタイプによってはつけないお客様もいらっしゃいますし、網目のサイズも変えられたりします。カーテンレールも、ブラインドをつけたいとかカーテンボックスで高級感を出したいとか。ちょっとしたオリジナリティで家の満足度が変わります。クーラーのスリーブ一つとっても、機種や取り付け位置によってピッタリの場所に開けた方が熱効率もいいです。せっかくのマイホームですから、工事として後から追加変更が難しくないところはオプションになっているんですよ」
こういわれて「なるほど」と夫婦ともに納得はしたそうです。
「オプションで唯一いらなかったなと思ったのはテレビのアンテナ工事ですね。必須と思っていたら、後からケーブルテレビでネットを開通したんですけど、その契約でテレビ見れたみたいです。それ以外はやっぱりどれも必需品でした!」
オプションの価格も反映してローンを組めるよう、早めにオプションリストを確認するのがよさそうですね。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)