不登校の子どもにオンラインの居場所を届けようと、京都市教育委員会が、仮想空間「メタバース」で学習支援を始めた。本年度は実証研究と位置付け、1~3月のオンライン学習に参加する小中学生を募集している。
病気や経済的な理由を除き、2023年度に年間30日以上欠席した不登校の児童生徒は市立小中で3151人。うち113人は出席日数がゼロだった。市内には2カ所の不登校特例校があり、長期欠席傾向のある子どもが学校内外で自習できる場所の整備も進められているが、ひきこもり状態にある子の学びや居場所の確保が課題だった。
オンラインの居場所は本年度当初予算に500万円を計上し、京都を中心に近畿で学習塾を展開する「成基」(中京区)に運営を委託。子どもたちは在籍校から貸与されているタブレット端末を使って、好きなキャラクターで自身の分身(アバター)を作って仮想教室に参加し、理科の実験やプログラミングなどの授業テーマに沿った体験をする。チャット機能を使って授業者の問いかけに答えたり、子ども同士で会話を試みたりすることで、人とつながる楽しさを体感できる。オンラインの居場所から実体験への興味関心につなげていく狙いがある。
2024年10~12月に、不登校が長期化した小中学生が活動するために市内8カ所に設けられている「ふれあいの杜」の通級者約40人の協力を得て試行したところ、26人が継続参加できた。「人が目の前にいないので緊張せず参加できた」「いろんな人の意見を知ることができた」との感想があったという。参加した子どもの保護者からも「久しぶりに同年代の子と話した」「授業内容をうれしそうに話してくれる」などの感想が寄せられた。
現在、1月8日~3月12日の毎週水曜午後1~3時に参加する児童生徒を募っている。授業テーマは伝統文化や外国語教育を予定する。不安や緊張が高く、登校したくても登校できない市立小4~中3の40人程度が対象。参加は無料で、希望者は2月末までに在籍する小中学校に相談する。参加状況は在籍校に報告され、各校長の判断で児童生徒の出席日数や評価の対象となる。
(まいどなニュース/京都新聞)