「夫と私は、幼いころ、知人から譲り受けたワンちゃんと暮らしていた経験があります。当時は、外飼いをしていたため、夫婦で『いつかワンちゃんを迎えたときは、室内で一緒に暮らしたいね』とよく話していました」。
そう語るのは、飼い主のX(ツイッター)ユーザー・うーさんみーさん(@hikokomi2120271)。夫と娘からも「犬を迎えたい」と言われますが、当の飼い主さんは二の足を踏んだといいます。その理由は「いつかお別れする日」が来るから。考えあぐねていたとき、過去に父からかけられた言葉を思い出しました。
「昔、実家で犬を迎えるとき、父から『命の期限を決められている犬や猫がたくさんいることを覚えておかなければいけない』と言われたことを思い出し、夫と娘に『お迎えするなら保護犬を』と伝えました」
そうしてご縁を探し始めた飼い主さん家族は、動物保護団体の『おーあみ避難所』さんが主催する譲渡会を訪れました。
「娘が、1匹の子犬に目を留めました。とても怖がりな子で、なかなかお顔を見せてくれませんでしたが、娘がとても気に入ったのです。『この子がいい』と言われ、お迎えすることを決めました」
それが、生後推定3カ月の女の子「みかん」ちゃんでした。譲渡会には、みかんちゃんのきょうだいも参加。「ルア」ちゃんと名付けられ、里親さんのもとで幸せに暮らしています。
「ルアちゃんと里親さんとは、今も交流させていただいています」
こうして2019年5月28日、みかんちゃんは、飼い主さん家族の一員になりました。
みかんちゃん中心の生活、うれしいサプライズも
みかんちゃんは、飼い主さん家族との暮らしにすんなりと慣れてくれたといいます。
「大変だったことはありませんが、ひとつ挙げるなら、散歩の練習でしょうか。無理に外へ連れ出すことはせず、みかんが外へ興味を持ち始めたとき、玄関のドアを開けて外から聞こえて来る音や人の気配に慣れるようにしました。そのあと、玄関の外に座ってみる、歩きたい素振りが見られたら歩いてみるようにしたところ、夜11時をすぎて外が静かになったころ、初めて歩くことができたのです」
みかんちゃんができることが増えるたびに喜びを感じる日々だったと飼い主さんは振り返ります。生活は、“みかんちゃんファースト”に。家族そろって、みかんちゃんのために行動し、見守る日々が始まったのです。
「当初、みかんがまだ家の階段を上がることができないあいだは、夜、みかんのいるリビングで家族みな一緒に寝ていました。そのときに、みかんは私たちのニオイをかいで少しずつ慣れてくれたように思います」
そうして、しばらく経ったある日、うれしい出来事が起こりました。
「夜、いつものようにみんなで床につきました。すると、いつのまにか私と娘の間にみかんが入ってきて寝ていたのです。それに気づいたときは、うれしくてたまりませんでした」
みかんちゃんと飼い主さん家族の絆は、こうして深まっていったのです。
みかんちゃんが「幸せにしてくれた」、ご縁に感謝する日々
みかんちゃんは、現在5歳になりました。
怖がりでとても穏やか。控えめなところもあり、甘えん坊さんでもあります。
「家族が集まると、必ず、真ん中に来ます。また、家族全員でみかんの散歩に行くと、みんなのことを何度も確認。そして、うれしくてたまらないというような表情を浮かべます。愛おしくてたまりません。夜、寝るときはいつも家族の誰かにくっ付いて寝ています」
みかんちゃんをお迎えした当初、「私たち家族が幸せにしたい」と強く思ったという飼い主さん。今、気づいたことがあるといいます。
「幸せをもらっているのは、私たちのほうです。家族みな、みかんのことが大好き、かわいくたまりません。『私たちを信用してくれてありがとう』と伝えたいです」
そして、飼い主さんは、みかんちゃんとのご縁をつないでくれたすべての人に感謝していると語ってくれました。
「私たち家族が今、みかんとこうして幸せに過ごせるのは、過酷な現実と向き合って保護活動をしてくださっている方々のおかげだと思っています。そのことを忘れずに、みかんがそばにいてくれる幸せをかみしめながら日々を過ごしたいです」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)