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先輩の余裕? 島根の観光キャラ「しまねっこ」にライバル「しばいっぬ」誕生 「親近感わくにゃ!」とコメント 

まいどなニュース 2025年2月1日 11時30分

 誕生15年を迎えた島根県の観光キャラクター・しまねっこに対抗するキャラクターが、同じ島根県内の益田市で産声を上げた。その名も「しばいっぬ」。益田市が柴犬の祖・石号の故郷であるのにちなみ、姿は柴犬で、頭には大社造りではなく、市内の古刹・万福寺(益田市東町)の屋根が乗る。市内の男性が考案し、イベントに登場するなど徐々に活動を広げている。”憧れの先輩”の背中を追う存在となれるのか。

 考案したのは、市地域おこし協力隊員の柴田健治さん(40)。益田市出身で2022年にUターンした。市観光協会に勤務し、日本遺産を生かしたまちづくりに取り組む。名前を略すと偶然に「しばけん」。実際に大の柴犬好きで2匹を飼う。

 しばいっぬの構想は5年前からあった。柴犬のルーツとされる石号の出生地が益田市美都町であると新聞記事で知り、驚いたことが印象に残っていた。

 着想を得たのは、島根を代表するマスコットキャラクターしまねっこ。猫ではなく犬、神社ではなく寺、と対比させるうちに生まれたのがしばいっぬだった。当時、ネットスラングで犬のことを「イッヌ」と呼ばれ始めていたこともあり、先手を打った。姿形も定まってないが、20年6月に「しばいっぬ」で商標登録を取った。

 当時、住んでいた東京では、新型コロナによる緊急事態宣言に伴い、勤めていた飲食店は休業や時短営業を余儀なくされた。持て余す時間でもともと好きだった歴史の本を読むようになり、中世に益田を治めた益田氏に触れた。折しもこの頃に益田市が日本遺産に認定されたこともあり、Uターンを考えるようになったという。日本遺産と柴犬に関わりたいと、募集のあった地域おこし協力隊員として帰郷した。

 Uターン前の21年6月に知り合いの漫画家にしばいっぬを描いてもらった。丸みのあるフォルムで、かわいらしい柴犬が笑う。ポイントは、益田家の菩提(ぼだい)寺で雪舟庭園でも知られる万福寺の屋根。柴田さんが「そりが美しいんです」とほれ込む。万福寺で修行中との設定だ。

 先輩・しまねっこは、毎日投稿するインスタグラムのフォロワーが2万人を超え、23年のイベント出演数は261件と、県内だけでなく全国各地を飛び回る。かつてゆるキャラグランプリで上位に食い込むなど知名度抜群で根強い人気がある。

 24年秋には自腹でしばいっぬの着ぐるみを作った。しまねっこを制作した実績のある企業に依頼し、体の形も寄せるよう要望するこだわりだ。着ぐるみは24年9月にマツダスタジアム(広島市)で初登場し、益田市のPRに参加。11月の全国山城サミット益田大会では、柴犬たちが町を練り歩く「柴犬行列」の催しの最後に姿を現し、会場を盛り上げた。

 しばいっぬのインスタグラムのフォロワーは200人ほど。今後は万福寺や医光寺、七尾城など益田の日本遺産だけでなく、犬を連れて行けるスポットを発信する。イベント出演も県西部を中心に増やしたい考えで、柴田さんは「夢はいつかしまねっこに会ってコラボすること。一緒に島根を盛り上げたい」と胸を膨らませる。

 憧れの先輩・しまねっこはどう思っているのだろうか。島根県の担当者を通じて聞いてみると「ステキにゃ屋根瓦に親近感がわくにゃ! 萩・石見空港にある『しまねっこ空の別荘』にも今度遊びにきてにゃ!」と好意的な様子だった。いつか夢の共演が実現するかもしれない。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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