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パンダの食べ残し、1週間100キロも…余った竹をアートに 和歌山

毎日新聞 2024年6月30日 12時30分

 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」は、飼育するジャイアントパンダの食べ残した竹を有効利用する「パンダバンブープロジェクト」を2019年から展開している。その一環として、海外アーティストを招いた1年半にわたるアート作品作りにも取り組んでおり、約5000本の竹を使った高さ10メートルを超える作品が10月に完成する予定だ。【大澤孝二】

 同園には、良浜(ラウヒン)(雌23歳)と、いずれも娘の結浜(ユイヒン)(7歳)、彩浜(サイヒン)(5歳)、楓浜(フウヒン)(3歳)の計4頭のパンダがいる。園の担当者は「パンダは一度食べた竹を再び食べることはなく、1週間で約100キロの食べ残しが出る」と話し、竹の有効利用は園の大きな課題となっている。

 パンダが食べない竹の幹や食べ残しは通常、焼却処分されるが、19年から始まったプロジェクトでは、食べ残しの竹を材料として竹あかりや工芸品づくりなどのワークショップを開催。枝葉で作ったアオリイカの産卵床作りにも22年から取り組んでいる。

 今回のアートプロジェクトの実行委員会には、同園を運営するアワーズ(大阪府)や和歌山大、白浜町の他、パンダの竹を05年から供給している大阪府岸和田市や伐採する現場に近いゆめみケ丘岸和田まちづくり協議会も名を連ねている。

 6月9日には、作品作りに必要な竹の伐採作業が同市の道の駅「愛彩ランド」周辺の竹林で始まった。ボランティアでプロジェクトに参加する通称「ぱんだず」など関係者60人が実施した。実行委員長で竹あかり演出家の池田親生さん(42)が中心となり、参加者は数人単位のチームに分かれて山中の急な斜面で真竹約50本を切り出した。

 ボランティアで参加した同市包近町のミカン農家、西野尚子さん(56)は「パンダが大好きでアドベンチャーワールドには時折遊びに行っている。皆さんとのつながりができたことがうれしい」と語った。

 集まった竹を使い、池田さんや台湾の世界的芸術家、王文志(ワンウエンチー)さんが8月から園内の希少動物繁殖センター前で組み立てを始め、10月には完成セレモニーも予定されている。

 王さんは23年に来園し、竹で編まれた大小二つの構造物を組み合わせた「Love of 彩浜」を制作。親子連れらが遊ぶ姿から今回の作品「Glimmering Hill(きらめく丘)」の着想を得たという。和歌山の山々から想起される大小二つの丘とそのつながりをイメージし、高さ10メートルにも達するアートになるという。

 池田さんは「この大きな挑戦はアドベンチャーワールドという枠や白浜という地域を越え、世界の仲間とつながるきっかけになる」と話している。

 アートプロジェクトの内容やボランティア募集などの詳細はホームページ(https://www.aws-s.com/pandabamboo-art/)

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