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美容専門学校BBQ死傷事故 「理事長の危機意識欠如」 事故調査委

毎日新聞 2024年7月5日 10時48分

 福岡県柳川市のハリウッドワールド美容専門学校で2023年5月、バーベキューの火が服などに燃え移り学生4人が死傷した事故で、学校が設置した事故調査委員会は4日、同校に報告書を提出した。報告書は火起こしに手指消毒用アルコールを使う危険性について、古賀英次理事長(65)の「危機管理意識の欠如が事故が発生した最大の原因である」と指摘。職員らが制止しなかった要因に「閉塞(へいそく)的な職場環境、組織風土」を挙げ、経営体制の刷新を求めた。

 報告書の提出を受けて、古賀理事長は同日の記者会見で理事長を辞任すると表明した。古賀理事長は「被害に遭った生徒、ご家族に深くおわび申し上げる。尊い18歳の命を奪ってしまったことは痛恨の極みで哀惜の念に堪えない」と謝罪。アルコールを使用したことに「安全に対する配慮を著しく欠いた判断をした。誠に申し訳ない」と述べた。次期理事長については「外部の有識者を入れて見識の高い風通しの良い理事会にしてほしい」と話した。

 報告書によると、アルコール使用は古賀理事長が発案し、職員から反対意見は出なかった。事故が起きた際のアルコールの使用は直接指示していないが、職員が古賀理事長の意に沿うととっさの判断でコンロに投入したという。

 事故が起きた背景として、古賀理事長による強権的経営の中で「何も言えない」「何を言っても無駄」という職場意識の醸成を挙げ、経営体質を刷新しなければ再発の危険性が高いと指摘した。

 調査委の委員長を務めた中馬充子・西南学院大教授は記者会見で「理事長の順法意識や危機管理意識のまひ・欠如と相まって引き起こされた重大事故だ」と述べた。【山口響】

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