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下請け法違反で勧告のトヨタ子会社が謝罪 「慢心と過信あった」

毎日新聞 2024年7月5日 20時41分

 下請け業者に対して納入品を不当に返品したり、金型を無償で保管させたりしたのは下請け法違反に当たるとして、公正取引委員会は5日、トヨタの子会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」(横浜市)に再発防止を勧告した。

 公取委や同社ホームページによると、同社はトヨタ自動車が約9割の株を保有。救急車などの特装車やエアロパーツの開発を手掛けており、2023年3月期の売上高は833億円。

 公取委によると、同社は遅くとも22年7月以降、下請け65社から納入された車体パーツなど計2604個を不当に返品した。いずれのパーツにも瑕疵(かし)があったものの、同社は返品の前提となる検収をしていなかったうえ、取り外し工賃を下請け側に負担させていた。

 また、同社はパーツの大量生産に必要な金型など664個の保管を49社に強要。中には1996年から保管させたままになっていた金型もあった。新たにパーツを発注する予定がないにもかかわらず、保管費用を支払っていなかった。

 公取委は、こうした行為が下請け法が禁じる「不当な返品」や「不当な経済上の利益の提供要請」に当たると認定。同社は返品に伴う被害相当額5427万円はすでに支払い、金型保管の被害額は算定中という。

 公取委の担当者は「特に金型の保管では違反の認識自体を持っていなかった。問題意識を広めていく必要がある」と指摘した。

 勧告を受けて同社は東京都内で記者会見し、西脇憲三社長が「関係者の皆様にご迷惑、ご心配をおかけし、大変申し訳ない」と謝罪した。

 下請け法違反が生じた原因については「今やっている仕事を疑う姿勢が会社で育まれていなかった。慢心と過信があった」などと釈明。今後、発注担当者への下請け法の教育などを行った上で、公取委に再発防止策を提出するとした。

 トヨタは「(同社の)再発防止に向けた取り組みをサポートしていく」などとするコメントを発表した。【渡辺暢、秋丸生帆】

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