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辺野古移設反対訴える「座り込み」10年 1200人が人間の鎖

毎日新聞 2024年7月6日 16時43分

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設先となった名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、移設に反対する市民が「座り込み」の抗議活動を開始して7日で10年となる。6日には約1200人が基地のフェンスに沿って手をつなぎ、長さ約500メートルの「人間の鎖」を作って工事の中止を訴えた。

 座り込みは2014年7月、政府が埋め立て予定海域で移設に向けたボーリング調査を進めようとしたことに抗議するため、工事車両が出入りするシュワブのゲート前で始まった。以後、工事車両が入る日は連日、沖縄本島各地などから集まった人々が座り込む。県警機動隊が移動を促したり、強制的に排除したりした後に、待機していた工事車両が次々と基地内に入る。

 この日の「人間の鎖」は、辺野古移設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」が呼び掛けた。参加者はつないだ両手を掲げ、「沖縄を犠牲にする基地建設をやめろ」などとシュプレヒコールを上げた。

 その後の集会では、この10年の間に亡くなった前知事の翁長(おなが)雄志さんや県選出の元衆院議員、照屋寛徳さんらの名前が読み上げられ、県内移設に反対して国と対峙(たいじ)した姿勢や取り組みをしのんだ。マイクを握った名護市のライター、浦島悦子さん(76)は「民主主義と地方自治を踏みにじる、どこからどう見ても不条理極まりない工事を止めることは未来に対する責任だ」と訴えた。相次いで明らかになった在沖縄米軍の兵士による性的暴行事件に対する憤りの声も次々と上がった。

 「人間の鎖」に加わった沖縄県南城市の元中学教諭、當間(とうま)嗣朝さん(81)は、かつては週1回座り込みに参加していたが、年をとり、今は月1回のペースになった。「首相をはじめ工事の責任者は次々と代わるが、沖縄の人たちは基地の負担にずっと向き合い続けないといけない。本土の人たちも、税金の使い道として辺野古移設が正しいのか、一緒に考えてほしい」と語った。

 政府は18年12月、移設に反対する県を押し切る形で埋め立てに着手。埋め立て予定面積約152ヘクタールのうちシュワブ南側の海域約41ヘクタールを既に陸地化した。軟弱地盤があるシュワブ東の大浦湾側でも今年1月に地盤改良に向けた作業を開始。8月以降、約7万本のくいを海底に打ち込む工事に着手するとみられる。【比嘉洋】

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