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「ゼロ回答だ」 マイク問題で再懇談、水俣病患者認定巡り反発も

毎日新聞 2024年7月8日 20時21分

 伊藤信太郎環境相と水俣病の患者・被害者との懇談中に環境省職員が被害者側のマイク音声を切った問題で、被害者団体との再懇談が8日、熊本県水俣市で始まった。被害者らの救済について、伊藤氏は従来の立場を変えず、議論は平行線をたどった。

 伊藤氏はこの日、「水俣病被害者・支援者連絡会」を構成する6団体と懇談。「水俣病問題に苦しめられている方のご発言に真摯(しんし)に耳を傾ける意識が欠落していたことは大変遺憾で、大いに反省しないといけない」と述べ、改めて謝罪した。被害実態の解明に向けた住民健康調査については「遅くとも2年以内」と開始時期に初めて言及した。

 一方、被害者側は国の水俣病認定基準の見直しを求めていたが、伊藤氏は必要性を否定した。出席者からは「ゼロ回答だ」(水俣病被害者の会の中山裕二事務局長)、「形式的な再懇談では問題解決にはつながらない」(水俣病被害市民の会の山下善寛代表)などと、環境省の姿勢を批判する声が相次いだ。

 8日の再懇談終了後、伊藤氏は報道陣の取材に「しっかり時間をかけて深い懇談ができた。いただいた意見は具体化に向けて前進させていけるよう事務方に指示する」と話した。

 マイク問題は5月1日、同市であった水俣病犠牲者慰霊式後の被害者団体との懇談時に起きた。伊藤氏は10、11日にも他2団体との懇談を予定している。【西貴晴、中村敦茂、山口智】

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