Infoseek 楽天

米兵の少女暴行事件 被告、起訴内容を全面否認 那覇地裁初公判

毎日新聞 2024年7月12日 13時58分

 16歳未満の少女を車で誘拐し、自宅で性的暴行を加えたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交等の罪に問われた米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)所属の米空軍兵長、ブレノン・ワシントン被告(25)は12日、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で開かれた初公判で「私は無実です。誘拐も性的暴行もしていません」などと述べ、起訴内容を全面的に否認した。弁護側も無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述などで、ワシントン被告は公園のベンチに座っていた少女に日本語で声をかけた後、翻訳アプリを用いて会話し、年齢を尋ねたと指摘。両手の指を使って年齢を示した少女を車で自宅まで連れ込み、寝室やリビングなどを見せた後、突然、性的暴行を加えたと主張した。公園の防犯カメラ映像などを示した他、少女が帰宅後に泣きながら被害を訴え、母親が110番したことも明らかにした。

 一方、弁護側は冒頭陳述で、被告は少女の年齢を「18歳と認識した」と反論。自宅で下半身を触るなどした行為も同意の上だったと強調した。

 起訴状によると、ワシントン被告は2023年12月24日、沖縄本島中部の公園で少女に「寒いから車の中で話さない」などと声をかけて車で自宅に連れ去り、16歳未満と知りながら、同意を得ずに下半身を触るなどしたとしている。

 次回公判は8月23日に開かれ、少女とその母親の証人尋問などが予定されている。

 事件では、沖縄県警が「米軍側から捜査の協力が得られた」として米側に身柄の引き渡しを求めずに任意で捜査し、24年3月11日に書類送検。那覇地検が同27日に起訴し、被告の身柄は日米地位協定などに基づいて日本側にいったん移されたが、その後に保釈されていた。

 ただ、捜査当局は事件自体を公表せず、起訴から約3カ月後の6月25日に報道で明らかになった。外務省は起訴段階で駐日米大使に綱紀粛正を申し入れたが、「被害者のプライバシー保護」などを理由に公表せず、沖縄県にも連絡していなかった。

 日米両政府が1997年に合意した通報基準では、公共の安全に影響を及ぼす可能性のある事件が起きた場合、米側から連絡を受けた外務省が防衛省に伝え、県や県内市町村に連絡するなどとされた。だが、順守されず、米軍から防衛省沖縄防衛局への連絡もなかった。政府と県警は米兵による性犯罪について県との情報共有の運用を見直した。

 県内では6月下旬以降、この他にも米兵による未公表の性的暴行事件が相次いで発覚。県議会が米政府や米軍への抗議決議を全会一致で可決するなど反発が広がっている。【比嘉洋、喜屋武真之介】

この記事の関連ニュース