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大阪地検の元検事正、在任中の性的暴行の罪で起訴 異例の事態に

毎日新聞 2024年7月12日 20時47分

 大阪地検トップの検事正だった6年前、女性に性的暴行を加えたとして、大阪地検は12日、弁護士の北川健太郎容疑者(64)=京都府=を準強制性交等の罪で大阪地裁に起訴した。事件当時、女性は酒に酔って抵抗できない状態だったという。

 起訴内容は2018年9月12日深夜~13日未明、大阪市内の自身の官舎で、深酔いしていた女性につけ込んで性的暴行をしたとしている。起訴を発表した大阪高検は北川被告の認否を明らかにしなかった。

 高検によると、被告は事件当時、女性を含む複数人と飲食店で酒を飲んだ後、官舎で女性と2人きりの状態だったという。24年2月に女性からの相談で事件が発覚。女性が立件を望んだため、地検の上級庁に当たる高検が捜査した。

 関係者によると、被告は6月25日の逮捕直後、「(女性との間で)同意があった」などと容疑を否認していたという。

 高検は被告の逮捕を発表した際、被害者のプライバシー保護を理由に詳しい容疑内容を明らかにしなかった。この日は「起訴に至ったという事情を考慮した」として事件の日時や場所を公表。大阪地裁に公判を請求するため、対応する地検が起訴したという。

 被告は大阪の地検や高検などで主要なポストを歴任。大阪高検次席検事や最高検刑事部長などを務めた後、18年2月に大阪地検検事正に就任した。定年前の19年11月に退官し、大阪弁護士会所属の弁護士に転身していた。

 高検の小橋常和次席検事は「模範となるべき幹部が在職期間中に重大犯罪に及んだのは極めて遺憾で、国民の皆様に深くおわび申し上げる」とコメントした。【高良駿輔】

企業の役職なども相次いで辞任

 関西の検察庁でエリートコースを歩んできた人物が、在任中の性犯罪の疑いで逮捕、起訴される異例の事態となった。今後の公判で何を語るのか注目される。

 起訴された北川健太郎被告について、検察関係者は「賢く、手堅い印象。着実に事件を進めるタイプだった」と語る。全国に八つある高検で、トップの検事長になる可能性もあったが、定年まで3年近くを残して検察庁を去った。

 弁護士への転身後は企業の取締役などを務めていたが、逮捕の衝撃は大きかった。ベルトコンベヤー大手のNCホールディングス(東京都)は逮捕翌日、取締役に再任する人事案の撤回を発表。リーガロイヤルホテル(大阪市)などを運営する「ロイヤルホテル」は被告側から社外監査役を辞任する申し出があったと明らかにした。

 近畿大の辻本典央教授(刑事訴訟法)は「検事正在任中の事件という前代未聞の事態。公判で検察側は客観性・公平性を保って追及していくことが求められる」と話す。【高良駿輔】

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