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熱中症予防の「駆け込み寺」に 「クールプレイス」開設 鹿児島

毎日新聞 2024年7月17日 13時10分

 鹿児島市和田1の浄土真宗本願寺派「妙行(みょうぎょう)寺」が、自由に涼める「クールプレイス」を開設した。冷房設備のある60畳の建物を門徒以外にも広く開放し、熱中症対策グッズもそろえて酷暑をしのげるようにしている。井上孝彌(たかや)副住職(28)は「エアコンをつけない高齢者も少なくないと聞く。ここに朝から夕まで居てくれても歓迎」と利用を呼びかけている。

 クールプレイスにするのは、妙行寺の敷地内にあり、イベントなどの貸し出しに使っていた「門徒会館」。冷却シートや経口補水液を水で簡単に作れるパウダー、氷のう、扇子などを備えた。近くには「クールプレイス」ののぼりを立て、通りかかった人が気軽に立ち寄れるようにしている。

 寺は元々、認知症の人や家族に対する支援、親の終活塾、遺族へのグリーフケアなど医療福祉系のさまざまな取り組みをしてきた。近年、記録的猛暑が列島を襲う中で井上さんはかねて「熱中症予防の『駆け込み寺』として、この寺を活用できないか」と考えており、門徒会館を活用して地域住民の健康を支えることにした。

 4月施行の改正気候変動適応法では、熱中症予防対策が盛り込まれた。市区町村が冷房を備えた公共施設などを事前に「指定暑熱避難施設」(クーリングシェルター)に指定し、「熱中症特別警戒アラート」の発表時に開放する内容で、暑さから市民を守るための取り組みが続く。

 寺のイベントに参加するついでにクールプレイスに立ち寄った同市坂之上のコンサルタント、上村(かみむら)ひさみさん(54)は「こういう場所で暑さをしのげるとホッとする。居心地が良い」と喜んでいた。

 クールプレイスの開設は9月30日までの午前9時~午後5時。期間中、看護師や薬剤師、栄養士に心身の相談ができる「寺の保健室」(無料)▽写経・写仏会(500円)▽気まま茶室(同)――などのイベントもある。日程などは妙行寺のホームページで。問い合わせは妙行寺(099・268・2026)。【梅山崇】

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