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地域に伝わる「スーパー村芝居」5年ぶりに 住民らコメディー挑戦

毎日新聞 2024年7月18日 15時30分

 長野県岡谷市小井川区の「小井川区壮年会」は、県内でも珍しいとされる自作自演の「スーパー村芝居」を21日の区民演芸祭で5年ぶりに復活させる。伝統的に義理人情と笑いや涙を絡めた時代劇で人気を博してきたが、33回目となる今回は現代劇のコメディーに初挑戦。脚本、演出、監督を手がける増沢誠司さん(66)は「コロナ禍で休止していた分、最後まで笑いっぱなしで帰ってもらえたら」と自信をみせる。【宮坂一則】

 村芝居は、いなか芝居とも呼ばれ、その土地の人が演じる。小井川区誌によると日露戦争の凱旋(がいせん)祝賀会の余興として若者による芝居が行われた記録がある。

 壮年会の村芝居は、演芸祭が始まって3年後の1988年、演芸祭を盛り上げようと始まった。顔見知りの近所のおじさんや職場の同僚の緊張した演技に観客もハラハラドキドキ。演者と観客が共に楽しめる、演芸祭になくてはならない出し物の一つになった。

 今回の演目は、オレオレ詐欺などの社会問題を取り入れた痛快娯楽現代劇「犬屋敷家 親孝行が仇(あだ)となる」。接骨院を営む増沢さんの25作目の脚本で、区内に住む普通の家族が、学校やレストランで起こす騒動をギャグ連発で描いた。増沢さんは「時代劇で笑わせ、泣かせてきた。昔からやりたかった現代劇でも笑わせたい」と話す。1時間10分の劇に笑いのツボをちりばめたという。

 会社員や市職員、歯科医、建設業、市議など職種もさまざまな会員のうち、40~70代の12人が役者、同約20人が裏方として携わる。地元の消防団員2人も救急隊員役で参加する。

 稽古(けいこ)が始まったのは6月。7月からは毎晩、仕事を終えた後に集まり、役者ののぼり旗が前景気をあおる会場で、笑いをとるせりふ回しや所作、アドリブなど、息の合った演技に磨きをかけてきた。

 壮年会の小島武雄会長(60)は「下手くそなりに、役者をやってみると面白い。癖になっている」と笑い、「伝統の村芝居を絶やしたくない。次の世代に伝えたい」と表情を引き締めた。演芸祭を主催する宮坂勇・小井川区長(75)は「抱腹絶倒の大笑いで元気をもらってほしい」と大勢の入場を呼びかける。

 第37回区民演芸祭は小井川区民会館で21日正午開演。太鼓演奏や舞踊、詩吟など区内の演芸団体が出演し、スーパー村芝居は午後2時半ごろ開始予定。入場自由で無料。

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