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百条委、元局長作成の陳述書を公開 兵庫県知事パワハラ疑惑

毎日新聞 2024年7月19日 16時53分

 斎藤元彦・兵庫県知事によるパワーハラスメント疑惑などを文書で内部告発した元県西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委)は19日、元局長が作成した陳述書の内容を公開した。

 計11ページに及ぶ陳述書は元局長がこの日の百条委の証人尋問に向けて用意していたものとされ、告発文の内容を想定問答の形で詳しくまとめられている。

「理不尽さに職員は耐えられない」

 知事のパワハラ疑惑については「県政に関する重要事項とか施策遂行上の問題といった次元ではなく、『知らなかった』『気に入らない』『配慮が足らない』『生意気だ』『自分より目立った』といった知事個人にとって不都合、不満が原因となった叱責、罵倒である」と記述。「この理不尽さに職員は耐えられないと思います」と続け、知事室や出張先での複数の具体例を挙げた。

 2023年11月に開催されたプロ野球・阪神タイガースとオリックス・バファローズのリーグ優勝記念パレード(兵庫県や大阪府、関西経済連合会などでつくる実行委員会主催)を巡る疑惑についても触れられている。

 告発文は難航した資金調達について「(県内の)信用金庫への補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った」などと指摘していたが、陳述書では「時期、相手方とも(誰から聞いたのか)はっきりとは覚えていない」としたうえで、「職員アンケートほか百条委の場で究明してほしい」と書かれていた。

元局長の妻の思い

 この日の審議では、元局長の妻が百条委側に送信したメールも公開された。「主人が最後の言葉を残していました。そこには『一死をもって抗議する』という旨のメッセージとともに、19日は出頭できないが、自らが作成した『陳述書』および参考の音声データの提出をもって替えさせてほしいこと、百条委は最後までやり通してほしいことが記されていました」と書かれていた。

 百条委は19日、この陳述書や知事の発言を録音したとされる音声データについて、調査資料として採用することを採択し、審議会場で公開に踏み切った。

 一連の問題を巡っては、元局長が3月、知事が絡んだ七つの疑惑をまとめた告発文を一部の県議会議員や報道機関に配った。元局長は7月19日の百条委に証人として出頭する予定だったが、7日に県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。

 12日には、知事の最側近だった片山安孝副知事が県政が混乱する責任を取って辞職することを表明した。

 知事はこれまで全ての疑惑に関する事実関係を否定したうえで、辞職する考えがないことを明らかにしている。【郡悠介、大坪菜々美】

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