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MUFG、社長ら20人超を処分 企業の非公開情報を無断共有

毎日新聞 2024年7月19日 18時5分

 傘下の銀行と証券会社が取引先企業の非公開情報を無断で共有していた問題などを巡り、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は19日、経営責任を明確化するための社内処分を発表した。亀沢宏規社長ら経営陣の報酬を減額するほか、退職した役員にも自主返納を求めた。処分された役員は計20人超。

 三菱UFJ銀行と系列の三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券は2021~23年、企業の非公開情報を無断で共有し、証券2社は情報を利用して営業活動を行った。同じグループの銀行と証券は、顧客を保護する「ファイアウオール規制」で情報共有が制限されている。銀行には認められていない有価証券の勧誘行為も複数見つかり、金融庁は6月、3社に金融商品取引法に基づく業務改善命令を出した。

 改善命令を受け、MUFGなどは19日、社内処分や再発防止策を盛り込んだ業務改善計画書を金融庁に提出した。不正があった当時、銀行頭取を務めていたMUFGの三毛兼承会長は、不正を認識していたのに適切に対応しなかったとして5カ月間、月額報酬30%の減額処分とした。MUFGの亀沢社長と三菱UFJ銀の半沢淳一頭取、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小林真社長の3人は3カ月間、月額報酬30%の減額とした。

 MUFGなどは19日、東京都内で記者会見を開き、亀沢社長は「関係者の皆様に心よりおわび申し上げる。実効性のある再発防止策とお客さま本位の営業活動を実践し、信頼回復に努める」と陳謝した。

 問題が起きた背景については、グループを挙げて銀行と証券の連携を推進する一方、「法令順守の意識が十分浸透していなかった」と説明。再発防止策として、AI(人工知能)を活用した不正の監視強化や、顧客情報の共有に関する社員向け相談窓口の設置を挙げた。

 不正発覚後、企業や自治体が三菱UFJモルガン・スタンレー証券を債券発行の主幹事から外す動きが相次ぐなど、業績への影響も懸念される。亀沢社長は「(少なくとも)数十億円程度の影響はありそうだ」と述べた。【成澤隼人】

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