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退職は「実質的な免職」 岐阜・岐南の前部長、公平委に審査請求

毎日新聞 2024年7月25日 16時44分

 4月末に退職した岐阜県岐南町の前福祉部長(55)が、「町の意向で任期満了前に退職させられた」として羽島郡広域連合の公平委員会に対し、任意退職処分の取り消しなどを求める審査請求書を提出したことが25日、明らかになった。

 岐南町は2022年4月、前部長を2年間の特定任期付職員として採用、24年2月には1年間の雇用期間延長を内示した。ところが、後藤友紀町長が4月22日、傍島敬隆副町長を通じて前部長に退職届の提出を求めたため、前部長は翌23日に退職届を提出し、同30日付で退職した。

 労働契約法は有期労働契約について、やむを得ない事由がなければ期間中に解雇できないと規定する。前部長は審査請求書で「外観上は任意退職の形式をとっているが、実質的には人事権を持つ町長の指示に基づく免職処分」「勤務実績や心身の状況に問題はなく、免職される理由はない」などとしている。

 公平委員会は、地方自治法と地方公務員法に基づき人口15万人未満の自治体に設置される行政委員会。職員への不利益処分に対する不服申し立てに関する裁決などをする。岐南、笠松2町が設立する羽島郡広域連合の3人の委員(岐南町1人、笠松町2人)が請求内容を審理した上で裁決する。

 岐南町では、前町長が職員へのセクハラ行為で辞職し、4月14日の出直し町長選で後藤氏が当選した。前部長の退職を巡っては、6月の町議会一般質問で町議が「本人の意思による退職でないのは明白。法令順守を無視した不当解雇ではないか」と追及。後藤町長は「退職は『一身上の都合』による自己都合退職で、解雇ではない」と答弁していた。

 前部長は審査請求書で「傍島副町長が後藤町長に(前部長の)雇用継続を求めたが、後藤町長は応じなかった」と主張。本来の任期の25年3月31日までに支払われるはずだった給与や手当の受給権も保障するよう求めている。

 町は毎日新聞の取材に「審査請求書を見ていないので、現時点ではコメントできない」(総務課)などとしている。【太田圭介】

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