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私たちの命はだれのもの? ドイツの戯曲「神」、東京で上演

毎日新聞 2024年7月26日 17時0分

 劇団「ワンツーワークス」の新作「神[GOTT]」が東京・下北沢の駅前劇場で上演中だ。ドイツの作家で弁護士のフェルディナント・フォン・シーラッハさんの戯曲で「医師による自殺ほう助」の是非をめぐる物語。観客を倫理委員会の委員に設定した観客参加型の演劇だ。

 最愛の妻に先立たれて生きる気力を失った男性が、かかりつけの医師に自死の手助けを願い出て、関係団体に致死量の薬物の処方を申請したが、却下された。これを受け、ドイツ倫理委員会は討論会を開き、男性の代理人やかかりつけ医、法学、医学、神学の専門家らが白熱の議論。討論後、委員である観客の投票で、上演中に結果が発表される。果たして「賛成」、「反対」のどちらの意見が多数を占めるのか――。

 戯曲の翻訳者でドイツ文学者の酒寄進一・和光大教授は「ドイツでは安楽死の代わりに臨死介助という用語が使われる。私たちの命はだれのものかとの問いかけが作者の意図だと思う」と話す。劇団を主宰する古城十忍(としのぶ)さん(65)は「日本では安楽死問題が十分に議論されていない」と上演の動機を説明する。

 28日まで。問い合わせは同劇団(03・5929・9130)。【明珍美紀】

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