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石垣市、台湾有事に備えた避難を住民に説明 不安の声相次ぐ

毎日新聞 2024年8月2日 19時29分

 台湾有事などを念頭に政府が進める沖縄県・先島諸島(石垣島や宮古島など)の住民避難やシェルター整備を巡り、石垣市は1日夜、住民との初めての意見交換会を市内で開いた。市は行政職員や逃げ遅れた住民が一時避難できるシェルターについて今年度に基本設計に着手し、2025年度以降に地下掘削などの工事を実施すると説明した。住民からは「避難したくない人もいる」「本当に安全に避難できるのか」といった不安の声が相次いだ。

 政府は、日本への武力攻撃が予測される事態に備え、国民保護法に基づき先島諸島の住民ら約12万人を九州・山口各県に避難させる計画の具体化を進める。24年3月にはシェルターの整備に関する指針もまとめ、石垣市など先島諸島5市町村が整備の対象となった。

 意見交換会での石垣市の説明によると、同市では約5万人の全市民を6日間で原則、航空機で島外に避難させる計画で、入院患者や高齢者らの要配慮者、ペット同伴者は船で避難する。航空機に持ち込めるのは1人当たり手荷物1個と身の回り品1個(計10キロ以下)で、長期避難に必要な荷物は別送できるよう検討する。シェルターは、市役所隣に整備する防災公園(約3・2ヘクタール)の地下に建設し、通常は駐車場として使う。

 意見交換会には内閣官房や消防庁の担当者も出席し、住民200人以上が参加した。79歳の女性は「もう高齢だし、住み慣れた石垣で一生を終えたい」と訴えたが、中山義隆市長は「避難しない人を守るために職員も残らないといけなくなる。全員で避難することが大原則です」と理解を求めた。聴覚障害がある60代の女性は「通訳者がいなければ集団移動も難しくなる」と不安を語り、中山市長は「孤立してバラバラになることがないようにサポートしていきたい」などと答えた。【日向米華】

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