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民話を動画にした「宇都宮の妖怪 百目鬼」 歴史生かし高評価

毎日新聞 2024年8月4日 10時15分

 栃木県ゆかりの武将・藤原秀郷が宇都宮市で鬼退治をした民話を独自のイラストで動画にした「宇都宮の妖怪 百目鬼(どうめき)」が、一般社団法人日本グラフィックサービス工業会(本部・東京都中央区)の2023年度作品展で「厚生労働省人材開発統括官賞」を受賞した。

 制作したのは、「栃木の武将『藤原秀郷』をヒーローにする会」を企画、運営する印刷会社みやもと(宇都宮市中戸祭1)。秀郷を通して地域活性化を図る活動の一環で、子どもたちにも地域の歴史に興味を持ってもらおうと、昨年、同会で作成したキャラクターを紙芝居風にアニメーション化した。全国規模で実施している同作品展に出品し4月23日の最終審査で、開発・開拓部門で厚生労働大臣賞に次ぐ第2位に輝いた。

 作品は市に伝わる民話を元に構成した。平安時代に「平将門の乱」を平定した秀郷が退治した百の目を持つ大鬼(百目鬼)が、400年後の室町時代に再び現れ災いを重ねたが、住職の説法を聞いて改心し成仏するという内容。大鬼が現れた場所は、明神山(現在の二荒山神社)のふもとであり、今でも県庁近くに残る「百目鬼通り」の名の由縁を伝える作品になっている。

 作品展では「地域の歴史を活かして、子どもたちの未来を育む歴史コンテンツの醸成」に向けての新たな試みなどが評価された。動画は、同会HPなどで配信しているほか、イベントや講習会などでも上映し、子どもからお年寄りまで多くの人から好評を得ているという。

 同会代表理事で、同社の宮本誠社長は「埋もれている地域の歴史的人物や民話をイラストなど新たな形で表現した。子どもたちの郷土愛を育み、対外的なPRへとつなげる地域創生活動として取り組んでいる。今回の受賞は大きな励みとなった」と話している。【松沢真美】

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