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「バズる」ジョージア大使が伊勢で「1日店長」に 栃ノ心も参加

毎日新聞 2024年8月6日 10時0分

 母国ジョージアの文化や家族についてのユーモアあふれるSNS投稿で人気のティムラズ・レジャバ駐日大使(36)とジョージア出身で大相撲の元大関・栃ノ心さん(36)=本名・レヴァニ・ゴルガゼ=が1日、三重県伊勢市を訪れ、食を通じた「外交」を展開した。

 2人が訪れたのは、同市の老舗乳製品メーカー「山村乳業」の直営店「山村みるくがっこう内宮前店」。新商品「山村ジョージアヨーグルトソフト」(520円)の発売を祝ってレジャバ大使が「1日店長」を、栃ノ心さんが「1日料理長」をともにエプロン姿で務めた。

 レジャバ大使は「さっぱりした口当たりで非常においしい」と絶賛。栃ノ心さんは「子どもの頃に食べたヨーグルトと同じ味。クルミとハチミツのバランスも良い」と話し、観光客とも交流した。

 この商品は100歳超の長寿者も多いジョージアにあやかって開発。人気商品の山村ソフトクリームより糖質、脂質、カロリーを大幅にカットした。ジョージアヨーグルトの豊かな酸味や滑らかな口溶けが特徴だという。内宮前店と外宮前店で販売している。

 同社は国名がジョージアに変わる以前の2005年から「山村グルジアヨーグルト」を発売。SNSを通してレジャバ大使と知り合った。昨年、同社の山村卓也事業責任者が大使館を訪れたのを機に交流が深まり、今回の新商品開発にも助言をもらったという。

 大使と栃ノ心さんはこの後、市民や職員が振る手旗に迎えられ、伊勢市役所を訪問。鈴木健一市長のほか、市内でワインを醸造する伊勢美味し国醸造所の江頭篤彦総支配人や障害者がワイン造りを手掛ける「ケアプロフェッショナル」の岩崎直明社長からワイン造りについて説明を受け、懇談した。

 ワインは約8000年前に黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方にあるジョージアで製造されたのが始まりとされる。独自の製法は世界無形文化遺産にも登録され、レジャバ大使は「日本の茶道のように、ジョージアにはワイン道がある。とても奥深く面白い」と紹介した。

 また、実家がワイナリーで、日本ソムリエ協会の名誉ソムリエでもある栃ノ心さんは現在ワインの輸入に携わっている。「ジョージアのブドウの品種を伊勢で栽培し、使ってくれているのが何よりうれしい。スパークリングワインはとてもさっぱりしていて最高」と評した。

 レジャバ大使は「充実した訪問になった。ワイン造りが福祉に生かされていることにも感心した。伊勢市とは今後もぜひ関わりを深めていきたい」と述べた。鈴木市長も「ワインを通してジョージアと新しい交流が始まればうれしい」と話した。【小沢由紀】

三重県庁も訪問

 レジャバ大使は日本にジョージアのワインを紹介するため、ジョージア語のあいさつをタイトルにして47都道府県にワインを贈る「47ガウマルジョス!」の活動を展開している。「ガウマルジョス」は日本語で「乾杯」の意味だ。

 レジャバ大使と栃ノ心さんは1日、伊勢市に続いて県庁も訪問。都道府県で27番目となった。三重は初めてというレジャバ大使は「三重県は豊かですね」などと話し、栃ノ心さんの同行は「スペシャルです」と笑顔を見せた。

 同郷の2人の親交は深く、2月に東京・両国国技館で行われた栃ノ心さんの断髪式では、レジャバ大使が祝辞を述べた。異なる土俵で有名な2人が日本でジョージアの文化を広めていく。【村社拓信】

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