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「次世代にどうつなぐか」 平和祈念原爆展で被爆者が語った体験

毎日新聞 2024年8月8日 8時0分

 広島市に原爆が投下されてから79年となった6日、同市で被爆した中村紘(ひろし)さん(81)=千葉県八千代市在住=が原爆の被害について語った。千葉市中央区の県庁1階で開かれた「平和祈念原爆展」(県原爆被爆者友愛会主催)の一環。中村さんは「次の世代にどうつなぐかが一番の課題」と繰り返し語りかけた。

 爆心地から2・2キロ離れた広島市段原中町(当時)で、2歳9カ月の時に被爆した。当時の記憶は残っておらず、母の幸子さんも「あれは地獄」と話すだけで何も語ってくれなかった。唯一教えてくれたのは、幸子さんが慌てて外に出ると、真っ青な顔をした中村さんが空を見上げて立っていたということだけだ。

 退職後に語り部として活動を始め、現在は八千代市や印西市の小中学校で年間2000~3000人の児童・生徒に講演を行っている。

 この日、中村さんは原爆の熱線や爆風の被害について説明し、「平和な世の中にするためには、我々の世代では間に合わない。若い世代が作っていかなければいけない」と語った。

 中村さんの話を聞いた習志野市の大学3年、右崎敦也さん(20)は「教員を目指しているので、子どもに伝えるためにも学習しなければいけないと思い参加した。良い勉強になりました」と満足そうに話した。

 同展は8日まで県庁で開かれており、広島市立基町高校の生徒が被爆者から体験を聞き取り、当時の様子を描いた絵などが展示される。当事者の語りは午後0時15分~同55分にあり、7日は8歳で被爆した加藤朝太郎さん=船橋市在住=が、8日は原爆で兄を亡くした大野禮子さん=松戸市在住=が登壇を予定している。

 同会副会長の谷本嘉雄さん(83)は「中学、高校生にも見てもらい、戦争の恐ろしさを知ってほしい」と呼びかけている。入場無料で、午前10時~午後4時まで。【近森歌音】

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