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米大使、長崎の平和式典欠席へ 7月にはイスラエル対応に懸念の書簡

毎日新聞 2024年8月7日 19時56分

 在日米国大使館は7日、エマニュエル米大使が、長崎市が9日の「長崎原爆の日」に開く平和祈念式典を欠席すると明らかにした。同市がイスラエルを式典に招待しないことを受けた対応だという。

 米欧6カ国と欧州連合(EU)が先月、長崎市にイスラエルへの対応を巡り、懸念を示す書簡を送っていたことも明らかになった。

 英国のロングボトム駐日大使は既に不参加を表明。外交関係者によると、EUやカナダ、イタリア、オーストラリアの大使も参加しないといい、波紋が広がっている。

 書簡は7月19日付で、主要7カ国(G7)から日本を除いた米欧6カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)とEUの大使や代表の連名となっている。

 書簡は「式典で平和のメッセージを共に伝えることの重要性を理解している」としつつも、「イスラエルを招待しなければ、(同じく)招待されていないロシアやベラルーシなどの国とイスラエルを同列に置くことになる。このような事態は不幸と誤解を招く」と強調。「イスラエルが除外されれば、我々も高官が参加することは難しくなる」と述べていた。

 パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を巡り、米欧諸国はイスラエルの「自衛権」を支持しており、各国の大使は式典に参加しないことで、市の対応に不満を示した形だ。

 長崎市は6月、ガザ地区の情勢を見極める必要があるとして、招待の代わりに「即時停戦を求める」などとした書簡をイスラエル大使館に送っていた。ガザ地区の戦闘は継続しており、市は7月31日、「式典で不測の事態が発生するリスクへの懸念がある」として、イスラエルを式典に招かないと発表。イスラエルのコーヘン駐日大使は同日、X(ツイッター)で「遺憾であり、長崎市がこれまで表明してきた姿勢の根本に反し、世界に誤ったメッセージを送ることになる」と投稿していた。

 エマニュエル米大使は9日、東京都内で長崎の被爆者を追悼する別のイベントに出席する予定。長崎市の式典には、在福岡米国領事館のアシーケ首席領事が出席する。

 アシーケ氏は7日、「私の式典への参列は、過去を追悼し、平和な未来を見据え、世界平和に向けた日本との協力に対する米国の献身を強調するものです」とするコメントを出した。【松倉佑輔】

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