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調剤薬局の倒産、過去最多ペース 1~7月22件、競争激化で

毎日新聞 2024年8月7日 18時16分

 民間調査会社の東京商工リサーチは7日、2024年1月から7月までの調剤薬局の倒産件数が22件に上り、過去最多ペースだったと明らかにした。倒産が最も多かったのは新型コロナウイルス禍の影響があった21年(年27件)で、同年同期(20件)を上回るペースで増えている。特に中堅規模の薬局で倒産が広がっており、生き残り競争が厳しくなっている。

 同社の調査によると、全体の負債総額は135億6500万円と前年同期比で5倍超だった。従業員数別でみた倒産状況は、「4人以下」の薬局が約54%と過半を占めた。今年7月には、「なぎさ薬局」などを全国50店舗以上で展開していた寛一商店(京都市)と関連8社が倒産している。

 調剤薬局は、大手ドラッグストアチェーンを中心とした出店攻勢などで店舗が乱立している。厚生労働省によると、薬局数は年々増加傾向にあり、22年度は6万2375件。5万5000件あまりあるコンビニエンスストアよりも多い。

 新型コロナ禍では受診控えによる業績悪化が目立ったが、現在は競争激化による影響が大きいようだ。大手薬局ではオンラインでの服薬指導や処方薬のネット注文などのデジタル化を推進。アマゾンジャパンが処方箋医薬品のオンライン販売を始めるなど、異業種からの参入も進む。

 東京商工リサーチは「デジタルシフトなど、ビジネスモデルの変革の波に乗れない調剤薬局は淘汰(とうた)にさらされる」と指摘している。

 今回の調査は負債1000万円以上の調剤薬局の倒産を集計、分析した。【嶋田夕子】

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