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安倍派会計責任者に検察側が指摘 「虚偽記載やめる機会あった」

毎日新聞 2024年8月9日 17時56分

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた清和政策研究会(安倍派)事務局長兼会計責任者の松本淳一郎被告(76)に対し、検察側は9日、東京地裁の公判で禁錮3年を求刑した。「政治不信を招き、大きな社会問題を引き起こした」と述べた。弁護側は寛大な判決を求めて結審した。判決は9月30日。

 検察側は論告で、安倍派では以前から、パーティー券収入のノルマ超過分をキックバック(還流)したり、議員側が事務所でプールしたりしていたが、政治資金収支報告書には還流やプール分を記載していなかったと指摘。安倍派の幹部が2022年に還流を続けるかどうか協議し、虚偽記載をやめる機会があったのに、松本被告は継続したと述べた。

 その上で、収支報告書は政治団体の収支に関する国民の判断の基礎となる極めて重大な役割を担っており、虚偽記載は「安倍派や安倍派会員の利益だけを考え、誠に身勝手」と非難。「政治とカネ」を巡る問題は後を絶たず、「厳重に処罰する必要がある」とした。

 弁護側は最終弁論で、安倍派では虚偽記載が長年続いており、松本被告が是正するのは困難だったとし、動機も自己の利益を図るためではないと主張した。起訴内容の大半を認めつつも、松本被告はプール分の不記載の一部を認識していなかったとした。

 松本被告は最終意見陳述で「以前から続いていたとはいえ、やめるべきだった。世の中に政治不信を抱かせ、深く反省している」と改めて謝罪した。

 起訴状によると、松本被告は18~22年分の安倍派の収支報告書に、収入と支出をそれぞれ計約6億7000万円少なく記載したとされる。【飯田憲】

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