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76歳保護司 大津の事件「やめてはいけないと決意」警官を前に講演

毎日新聞 2024年8月21日 15時30分

 犯罪や非行をした人と定期的に面接して立ち直りを支える保護司の活動への理解を深めようと、警察官を対象にした講演会が19日、福岡県警小倉北署であった。署員約100人を前に、小倉北保護区保護司会の理事を務める後藤昭二さん(76)が、活動の意義や担い手不足の現状などを語った。

 5月に大津市で保護司が殺され、担当する保護観察中の男性が殺人容疑で逮捕された事件を受け、小倉北署が後藤さんを招いた。後藤さんは事件を「多少は動揺したが、『更生保護の道をやめてはいけない』と逆に意識を持ち、大きく決意した」と語った。

 元会社員の後藤さんは2011年に保護司の活動を始め、これまで薬物使用の元被告ら20人以上の更生を支援してきた。

 後藤さんは「犯罪や非行で何らかの処分を受けた人たちも、いずれは社会に戻ってくる。本人が反省し、やり直そうと思っても、ハンディキャップや社会のバリアーなどの要因で社会に居場所を得られず、再犯や再非行に至るケースも少なくない」と指摘。活動の意義を「彼らを社会から排除したり孤立させたりするのではなく、再び受け入れて立ち直りを支えることが重要」と力を込めた。

 一方、保護司の数は、法律で定められている定員に達しておらず、60歳以上が8割と高齢化が進んでいるという。後藤さんは「新任保護司の掘り起こしが急務」と語った。【成松秋穂】

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