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犬の12%で腸内に歯周病菌、病気リスク増 ペット保険会社調査

毎日新聞 2024年8月21日 15時38分

 ペット保険大手「アニコム損害保険」による調査で、約12%の犬の腸内から歯周病に関連する菌が検出された。腸内に歯周病関連菌があった犬は、胃腸炎や慢性腎臓病にかかりやすい傾向があることも分かった。

 歯並びの構造やペットの歯磨き習慣がない飼い主が多いことから、3歳以上の犬の8割は歯周病にかかっているとされる。アニコムは、口腔(こうくう)内の環境が及ぼす影響を調べるため、ペット保険を契約している0~17歳の犬の記録19万2096件を調べた。

 犬の便のデータなどから、約12%にあたる2万2122件で、腸から歯周病や歯肉炎などのもととなる菌を検出した。0歳では3・4%にとどまったが▽5歳17・0%▽10歳23・8%▽15歳41・6%――となり、年齢を重ねるほど検出率が高くなった。加齢に伴って口腔内の歯周病関連菌が増えることや、腸内の免疫力低下が原因とみられる。

 腸内に歯周病関連菌があった犬は、ない犬と比べ、消化器や呼吸器、泌尿器など全疾患の有病率が、年齢によって2・2~4・7%高かった。具体的には下痢や嘔吐(おうと)の症状や、胃腸炎や慢性腎臓病などで、健康に悪影響を及ぼしていることがうかがえた。

 また、犬の死因で多い腫瘍性疾患でも、腸内に歯周病菌を保有している犬のほうが、有病率が高い傾向が表れた。

 保険金請求記録などを基にしたアニコムの統計(2023年)では、犬の平均寿命は14・2歳で、過去最長を更新。医療費も増えており、年間の平均診療費は7歳で10万576円、15歳では23万9810円となっている。

 アニコムホールディングスの小森伸昭代表取締役は「調査結果から、『万病のもと』とも呼ばれる歯周病を予防することの重要性を再確認した。口腔ケアの浸透と効果的な手法を探り、犬を健康にしながら人の生活習慣病の防止につなげたい」としている。

 調査結果は7月の日本口腔科学会で発表され、ペット業界に限らず、さまざまな分野での共同研究が呼び掛けられた。【山口朋辰】

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