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打撃受けたホタテで新メニューも 禁輸1年、「問題続いている」

毎日新聞 2024年8月22日 17時37分

 東京電力福島第1原発の処理水が海洋放出されてから、24日で1年。反発した中国、香港による禁輸措置が解除される動きは見られない。北茨城市平潟町で特産のアンコウ料理を売りにする旅館「あんこうの宿 まるみつ旅館」はこの日に合わせ、禁輸で打撃を受けた北海道産ホタテと地元産あん肝をバター焼きにする「海底焼き」の販売を始める。

 まるみつ旅館は2022年、香港に提携レストランを開いた。しかし、処理水の海洋放出を受けて茨城など10都県の水産物が禁輸に。レストランは、禁輸対象地域外の海産物を使って営業を続けているが、北茨城から輸出するはずだったアンコウ鍋約4000食、あん肝ラーメン約2000食(計約1200万円分)は宙に浮いた。通信販売などである程度は売れたが、残った約400万円分は賞味期限を考慮して24年3月に廃棄した。社長の武子(たけし)能久さん(48)は「禁輸がこんなに長引くとは思っていなかった」と肩を落とす。

 「海底焼き」は、「中国による禁輸の影響を受けた北海道産ホタテとのコラボ商品を」と武子さんが考案した。バター焼きにしたホタテとシメジに、あん肝と秘伝の特製みそのペーストを乗せ、しょうゆを垂らして食べる。2食分(冷凍)で1920円(税込み)。24日から同旅館の売店で、9月1日からは同旅館の通販サイトでも販売する。10月中には北茨城市のふるさと納税返礼品となる予定。売り上げの一部は、香港店の支援に充てる。

 武子さんは「禁輸は政治的な思惑で行われたもの。こういうことがまかり通るようでは、同じようなことが何度も起きる。多くの人が関心を持ち、今も問題が続いていることを知ってほしい」と話した。【田内隆弘】

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