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兵庫知事は改めて辞職否定 パワハラ疑惑、百条委が初の職員尋問

毎日新聞 2024年8月23日 21時28分

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は23日、パワハラの有無を明確にするため、非公開で県職員6人を証人尋問した。終了後に記者会見に応じた委員らによると、複数の職員が知事から厳しく叱責されたり、その場面を目撃したりしたと証言した。自らの言動について「業務上の指導」などと繰り返す知事に対し、ある職員は「腹立たしい」と発言したという。

 百条委での職員の尋問は初めて。証人の心理的負担を軽減するため、非公開とした。会見には奥谷謙一委員長ら委員8人が出席した。

 委員によると、告発文を作成、配布したとして停職3カ月の懲戒処分とされた元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)について、処分の検討の際に県職員が「公益通報の結果が出るまで処分を待った方がいい」と進言していたとの証言が出た。元局長は3月に告発文を報道機関や県議らに送付した後、4月4日に県庁内の公益通報窓口に通報したが、公益通報の保護対象とされず5月に処分された。委員の一人は、県幹部らが処分案を決める会議でも3人が公益通報の結果を待つように進言したが、上層部に受け入れられなかったと明らかにした。

 知事が文書の存在を把握した2日後の3月22日には、人事当局が告発文の情報源と疑われる職員を捜すため、職員の公用メールのサーバーを調査していたことも判明。奥谷委員長は「はなから文書を調査する気はなく、作成者を特定して処分したいという意図を感じた」とし、「処分に至る県の一連の対応は、組織的なパワハラに当たるのではないか」と述べた。

 また、ある職員は、知事が県の最高幹部とのやり取りで腹を立て、文具を投げたのを目撃したと証言。午後11時といった深夜や未明の午前1時、休日にも知事からSNS(ネット交流サービス)のチャットを通じて指示があり、「気が休まることがない」「3連休の初日に急な指示があり非常に苦痛だった」との証言もあった。

 明確に「パワハラを受けた」という証言はなかったが、職員らは「人生で初めてこういうこと(対応)をされた」「自分は精神的にタフなのでダメージは少なかったが、他の人に(同じ事が)されているなら看過できない」と訴えた。県職員のアンケート結果で、数々のパワハラ疑惑が指摘された後の8月20日の会見で、知事は「仕事なので厳しく指導することも必要だ」と述べた。これに対し、証人の職員は「開き直っていて、非常に腹立たしい」と訴えたという。

 30日には、パワハラ疑惑について知事と幹部らを公開で尋問する予定。

 斎藤知事は23日、報道陣の取材に応じ「今は業務に専念しつつ調査にも適切に対応していく」と改めて辞職を否定した。【中尾卓英、大野航太郎、砂押健太、中田敦子】

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