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「海の中道大橋」3児死亡事故から18年 今も増える飲酒運転被害

毎日新聞 2024年8月25日 10時52分

 福岡市東区の「海の中道大橋」で幼いきょうだい3人が犠牲になった飲酒運転事故から25日で18年となった。現場の橋には朝から市民らが訪れ、海に向かって手を合わせた。ランニングでよく橋を通るという医師、中司悠さん(44)=同区=は「高い橋から海を見ると事故のことを思い出す。飲酒運転を撲滅しないと、亡くなった子供や両親の思いが生かされない。事故で失われる命がない世の中にしなければ」と語った。

 事故は2006年8月25日夜に起きた。家族5人が乗る乗用車が当時22歳で福岡市職員だった男性(40)=懲戒免職=の車に追突され、橋から海に転落。大上紘彬(ひろあき)ちゃん(当時4歳)、倫彬(ともあき)ちゃん(同3歳)、紗彬(さあや)ちゃん(同1歳)のきょうだい3人が水死し、両親が負傷した。飲酒運転だった男性は危険運転致死傷罪などで懲役20年の判決を受け11年に確定。飲酒運転に対する厳罰化のきっかけとなった。

 だが、飲酒運転は今も撲滅に至らない。警察庁によると、23年に飲酒運転による人身事故は2346件発生し、前年より179件増えた。そのうち呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0・25ミリグラム以上の「高濃度者」による事故は1453件(前年比131件増)と全体の6割超を占めた。

 福岡県警によると、23年の飲酒運転にかかる検挙者1536人(同145人増)のうち、1196人(77・9%)は「高濃度者」だった。

 県警交通企画課の山本幸統括管理官は「『飲酒運転をしない』という意識が風化しているように感じる。今後も引き続き取り締まりを強化していく一方で、飲酒運転に対して目を光らせ、不審な車があれば積極的に通報もしてもらいたい」と呼び掛けている。【河慧琳、栗栖由喜】

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