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千島歯舞諸島居住者連盟 脇紀美夫・前理事長が死去 83歳

毎日新聞 2024年8月26日 18時4分

 千島歯舞諸島居住者連盟の前理事長で、元羅臼町長の脇紀美夫さんが26日午前1時過ぎ、肺がんのため釧路市内の病院で亡くなった。83歳だった。

 脇さんは1941年1月、北方領土・国後島礼文磯生まれ。2003年から3期12年、羅臼町の町長を務め、在任中の05年、知床が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録された。

 町長を退いた後、15年から元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟理事長に就任。23年5月まで2期8年にわたり北方領土返還運動の先頭に立って取り組んできた。

 脇さんは1948年8月、一家6人で樺太経由で引き揚げてきた。幼少期に国後島で暮らした記憶のある元島民の一人として返還要求運動に取り組む傍ら、高齢化の著しい元島民の古里訪問の負担軽減に向け、船での渡航以外に航空機を使った墓参ができるようにも尽力。2017~19年に「航空機墓参」を実現した。

 脇さんの引退後、理事長を引き継いだ松本侑三さん(83)は「物静かな方でしたが、強い責任感を持って周りを思いやりながら後継者の育成などに尽力をされてきました。とても残念に思います」と述べた。

 通夜は28日午後6時半、葬儀は29日午前10時、いずれも羅臼町本町56の誠諦(じょうたい)寺。自宅は羅臼町礼文町32の15。喪主は妻セツさん。【本間浩昭】

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