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「人事のゆがみ確認できず」 名古屋市教委の金品受領で最終報告書

毎日新聞 2024年8月28日 15時27分

 名古屋市教育委員会が多数の教員団体から校長職などに推薦する教員名簿とともに金品を受け取っていた問題で、市の調査検証チームは28日、最終報告書を河村たかし市長に提出した。「名簿、金品の授受で人事が不当にゆがめられたことは確認できなかった」とする一方、こうした慣習を「市民の疑惑や不信を招く不適切な行為」と批判。「人事行政の公正さに対する無神経さ、無責任さこそが事案の本質で、厳しく非難する」と総括した。

 調査の過程では、市教委の教職員課長らが校長経験のある教員OBらに人事異動案を「内覧」と称して事前に見せていたことが発覚。報告書ではこの点について「教育委員会制度に対する冒とくで、地方公務員に課された守秘義務に反する」と指摘。ただ、関係職員に対する刑事処分、懲戒処分については「訴追機関等の判断、職員の任命権者である市教委の判断」と対応をゆだねた。

 最終報告書によると、教員人事を担当する市教委教職員課は記録の残る2017~23年度に、教員団体から計1312万円(商品券含む)の金品を受領。23年度は校長会や大学同窓会など86の任意の教員団体から名簿が出され、うち69団体が教職員課に金品を提供していた。少なくとも20年くらい前から金品授受があったと認定した。

 今回の問題は今年2月、一部報道を受けて市教委が事実を認めた。市は第三者を含む調査検証チームを発足させ、関係者から聞き取りなどを実施してきた。

 報告書を受け取った河村市長は報道陣に「(ヒアリングした関係者らが)しゃべらんかっただけ。何の影響もなかったなんて通るわけないがね」と憤った。その上で「金をもらいボスには事前に見せて人事をやっとった。市民の皆さんにどうやったら信頼回復できるのか。ものすごい重い十字架を背負わされた」と話した。【川瀬慎一朗、加藤沙波】

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