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九州で1人行方不明、82人負傷 台風10号、強風などの被害相次ぐ

毎日新聞 2024年8月29日 19時26分

 台風10号は29日午前8時ごろ鹿児島県薩摩川内市付近に上陸し、九州北部を北上した。31日にかけて西日本を東へ進む見通し。大雨や強風の影響による死傷者も出ており、警察庁によると、愛知県で3人が死亡。毎日新聞の29日午後8時現在のまとめでは、九州で1人が行方不明、82人が重軽傷を負った。台風の動きが遅いために西日本を中心に長時間にわたり非常に強い風が吹き、総雨量も多くなり、災害の危険度が急激に高まる可能性がある。

 29日午前、気象庁は奄美地方を除く鹿児島県内に出した暴風、波浪、高潮特別警報を解除し、警報・注意報に切り替えた。台風の勢力は「非常に強い」から「強い」に弱まり、夕方にはさらに弱まったとした。

 気象庁によると、台風10号は午後9時現在、長崎県島原市付近をゆっくりとした速さで北北東へ進んでいる。勢力は中心気圧が990ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートル、最大瞬間風速は40メートル。

 九州各県への取材(29日午後8時現在)では、宮崎35人▽鹿児島24人▽福岡9人▽長崎・熊本・佐賀でそれぞれ4人▽大分2人――の計82人が風で転倒するなどして重軽傷を負った。

 また、鹿児島海上保安部によると、28日夜、鹿児島港(鹿児島市)に係留中の作業船「第8神佑丸」が転覆し、船長の潟岡英行さん(64)=北九州市門司区=が行方不明になった。29日に海中から男性の遺体が見つかり、海保は潟岡さんの可能性が高いとみて、身元の確認を急いでいる。

 宮崎市では、強風による被害が相次いだほか、鹿児島、宮崎、大分の各県では28~29日に長時間にわたり雨を降らせる「線状降水帯」が発生。大分県由布市の宮川が29日に氾濫し、農地が冠水するなどした。

 一方、台風の影響による土砂崩れに巻き込まれた愛知県蒲郡市の一家5人のうち、29日までに男女3人の死亡を確認。徳島県上板町では、屋根が崩れた住宅で落下物に巻き込まれた80代男性が死亡した。県警が台風との関連を調べている。

 気象庁によると、西日本と東日本太平洋側を中心に台風から離れた地域でも暖かく湿った空気が流れ込んでいるため、断続的に激しい雨が見込まれる。予想される24時間雨量はいずれも多いところで、30日午後6時までに四国400ミリ、九州北部、東海300ミリ、31日午後6時までに四国400ミリ、近畿、東海300ミリ。30日にかけて九州北部(山口県を含む)、四国、東海で線状降水帯が発生する恐れがあるとしている。

 最大風速(最大瞬間風速)は30日に九州北部、四国25メートル(35メートル)、九州南部、中国、近畿23メートル(35メートル)、31日は四国23メートル(35メートル)、中国、近畿、東海20メートル(30メートル)と予想。何かにつかまらないと、立っていられない非常に強い風が吹くとして注意を呼び掛けている。

 九州、山陽、東海道新幹線で運休が相次ぐなど交通にも影響が出た。JR各社によると、30日は九州新幹線が終日運休を決め、長崎ルート(西九州新幹線)は本数を減らし運行予定。山陽新幹線の広島―博多間は30日が終日運休、新大阪―広島間は大幅に本数を減らし、東海道新幹線との直通運転は取りやめる。

 また、東海道新幹線は三島―名古屋間で30日の始発から運休、東京―三島間と名古屋―新大阪間で大幅に運行本数を減らす。31日から9月2日にかけても計画運休などの可能性がある。

 一方、空の便は九州地方を発着する国内線を中心に乱れ、29日午後8時現在で、日本航空と全日空で計494便が欠航し、約3万5000人に影響が出た。30日は、両社で637便が欠航する予定。【木原真希、平川昌範、島袋太輔】

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