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「ちいさなたね」とおはなししよう 助産師が性教育の絵本出版

毎日新聞 2024年9月3日 19時30分

 和歌山県那智勝浦町の助産師、本舘千子(もとだてかづこ)さん(57)が、小学校入学前の幼児と保護者向けの「ココロとカラダの絵本 だいじなはなし」を自費出版した。仕事上で接する保護者らの「性教育はいつから、どういう具合に子どもと話したらいいか分からない」との声に応えた内容になっている。【松田学】

 助産師は、妊娠から出産、育児など、母子の健康をサポートする他、正常分娩(ぶんべん)なら医師の指示を受けなくても介助ができる国家資格。本舘さんは、1989年に助産師の資格を取得。新宮市内の病院や東京都内の助産院でキャリアを積み、97年に同町北浜で「かづこ助産院」を開業した。本業の傍ら、2002年からは紀南地方の小中学校、高校に出向いて思春期教室や命の話などの授業をし、児童・生徒に性の正しい知識を教える活動にも取り組む。

 絵本は約22センチ四方で20ページ。「ねえ ねえ。ちいさなたねが きみと おはなししたいんだって」の言葉で始まり、「きみも せいし と らんし っていう いのちのたね から はじまったんだ」「じぶんいがいの プライベートパーツは さわっては だめ。じーっとみても だめ。これは ルール なんだ」「いやなきもちは だれかにはなそう。 ママ パパ せんせいみたいに きみを たいせつにしてくれるおとなのひとが いいね」など、成長に伴って出てくる性のあれこれを、ほのぼの感あふれるオリジナルキャラクターのイラストを添え、ひらがなとカタカナで平易に説明している。

 本舘さんは「日本では長らく『性』は隠さないといけないもの、恥ずかしいものという価値観が大人の間で浸透していたが、性教育の基本は対話。体のことを話すのではなく、自分の存在がとっても大切なんだ、愛されているんだということをまず教えなければならない」と強調する。そして「体の成長や発達に合わせ、繰り返し話すことが大切。本来の性教育は、人権や生き方、人とのコミュニケーションのあり方など、幅広く、奥深いもの」と言う。

 読んだ人からは「身構えることなく、さらっと読める」「内容がすっと頭に入ってくる」と好評だ。本舘さんは「お子さんと何度も読み返し、楽しい時間を過ごしてほしい」とも話す。

 かづこ助産院(0735・52・6798)で1冊1320円(税込み)で販売している他、送料が必要だがQRコードから申し込むこともできる。

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