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米兵を不同意性交致傷容疑で書類送検 情報共有見直し後初 沖縄

毎日新聞 2024年9月5日 12時48分

 沖縄本島で6月に成人女性に性的暴行をしてけがをさせたとして、沖縄県警は5日、在沖縄米海兵隊員の20代男性を不同意性交等致傷容疑で書類送検した。県警は同日、事件について県に伝えた。沖縄県では米兵が性的暴行事件で相次いで検挙されていたことが6月下旬に発覚。新たな事件の発生に、米軍に対する怒りの声がさらに高まるのは必至だ。

 県警などによると、事件は本島北部で発生。海兵隊員と女性は知人で、米軍基地外の屋内で起きた。事件後に女性が医療機関を受診し、医療関係者が県警に通報した。日米地位協定の規定で、米軍が確保した米兵の身柄は原則、起訴まで米側が持つため、県警は米軍の管理下にある海兵隊員に対し、任意で取り調べを進めてきた。認否は明らかにしていない。

 県内では米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に所属する米空軍兵が2023年12月に沖縄本島で少女を自宅に連れ込み、性的暴行をしたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交等の罪で24年3月に起訴され、公判中。5月にも米海兵隊員が本島で成人女性に性的暴行をしようとしてけがをさせたとして逮捕され、6月17日に不同意性交等致傷罪で起訴された。

 両事件について県警や那覇地検は公表せず、6月下旬に報道で発覚。捜査当局や、事件を把握していた政府が県側に伝えていなかったことが問題になった。県警は7月に情報共有の運用を見直し、米軍関係者を性犯罪で逮捕や書類送検した段階で、捜査に支障がない範囲で県に伝えることにした。今回の事件で初めて適用し、県警の担当者が5日午前に県庁を訪れ、事件の概要を説明した。

 政府も7月に運用を改め、米兵が沖縄県内で性犯罪を犯したと政府が把握した場合、捜査当局による事件処理が終了した後、県などの地元自治体に「例外なく」連絡するとしている。林芳正官房長官は5日午後の記者会見で今回の事案について「事件処理の結果を踏まえて適切に対応したい」としたうえで、「米軍人等による事件・事故は地元の皆様に大きな不安を与えるもので、あってはならない。米側がこれまでに発表した再発防止策の実施を含め、事件・事故防止の徹底を引き続き米側に求める」と述べた。

 在日米海兵隊を統括する第3海兵遠征軍は毎日新聞の取材に、書類送検された海兵隊員の身柄は在日米軍施設内で管理しているとし、「捜査に全面的に協力している。容疑の行動は米海兵隊の核心的な価値観を反映しておらず、在沖縄米海兵隊員の大多数の行動を表すものでもない」とした。【喜屋武真之介、比嘉洋、鈴木悟】

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