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「皇室献上」詐欺、被告に執行猶予判決 「計画的で悪質」 福島地裁

毎日新聞 2024年9月5日 15時50分

 皇室への献上名目で農作物が詐取された事件で、福島地裁は5日、詐欺や偽造有印公文書行使などの罪に問われた農業園芸コンサルタント、加藤正夫被告(76)=東京都練馬区=に懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の判決を言い渡した。島田環裁判長は「長期間身分を偽り、宮内庁発行などと称した文書を提示するなど、計画的で悪質な犯行」と断じた。

 弁護側は「献上品の推薦権限はあった」などと主張していたが、判決は、宮内庁職員の証言などから「献上品を選定ないし推薦する権限を与えられたことがなかった」と判断。「宮内庁の関係者から口頭で、良い物があれば推薦してほしいと言われた」とした加藤被告の供述を、「経緯や宮内庁関係者の素性に至るまで、極めて曖昧で具体性に乏しく、これをうかがわせる事情や証拠も一切見当たらない」と退けた。

 加藤被告は、身動きしないまま言い渡しを聞くと、傍聴席の関係者と目を合わせずに退廷。記者の質問にも応じなかった。

 判決によると加藤被告は、2022~23年、偽造した「献上依頼書」を渡すなどして献上品を選定する権限があると装い、福島市の農家から桃4箱、茨城県筑西市の農家からシイタケ約2キロ、同県結城市の農家からトマト2箱などの計約3万400円相当をだまし取るなどした。【西夏生、松本ゆう雅】

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