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日本遺産・里沼をテーマにアートで地域活性化 ワーケーションの場も

毎日新聞 2024年9月6日 8時50分

 群馬県館林市で日本遺産「里沼」をテーマに、アートを通じて地域の活性化を目指すプロジェクトが始動した。芸術家3人が市内に滞在し、創作活動に取り組みながら展示会を開催するほか、県外の企業向けにワーケーションの場を提供。里沼の認知度を高めるとともに、交流人口の拡大や地域の新たな魅力を発見することで、地域観光の促進を図るのが狙いだ。

 プロジェクト名は「アート&カルチャーローカルラボ カイ」。伊勢崎市を拠点にアートを通じたまちづくりを実践する一般社団法人「かい」(高庭佳奈美代表理事)が企画し、8月23日に館林市内で記者会見を開いて概要を発表した。

 計画では、県外の芸術家3人が8月末から11月にかけて市内にそれぞれ2週間ほど滞在し、里沼を構成する茂林寺沼や多々良沼、城沼を題材に作品を創作。11月に旧秋元別邸で展示会を開く。

 参加する芸術家は、画家の田村綾海さん▽ミュージシャンで俳優の古舘佑太郎さん▽芸人・パフォーマーのぼく脳さん。3人の視点を通し、今まで地元が気づかなかった新たな価値観や魅力を生み出すきっかけにしたいという。

 ワーケーションは、観光地などで仕事をしつつ、休暇も取る新しいスタイルの働き方。プロジェクトでは11月にワーケーションをしながらアートや芸術家との交流が楽しめる2泊3日の「アートワーケーション」を開催。都内などの企業から10人程度が参加する予定で、地元住民と触れ合う機会も用意する。

 同法人は広島県三原市でも同様のプロジェクトを企画した実績がある。高庭代表理事は「芸術家と地元住民が一体となり、多様な価値観やアイデアが生まれる環境づくりを目指したい」と意気込んだ。

 プロジェクトは観光庁の地域観光新発見事業に採択された。県も予算の一部をアート振興に充てる「群馬パーセントフォーアート推進条例」に基づいて支援する。県の担当者は「ビジネスモデルとしての可能性がある」と評価。館林市教育委員会の戸叶俊文教育次長は「館林はこれまで交流人口を増やす施策が弱かったので、プロジェクトの効果は高い。里沼の普及促進に大きな役割が果たせる」と期待を寄せた。【湯浅聖一】

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